提案だよ?
部活が終わり翔人が教室に戻ると、音は教室で1人待っていた。
「ごめん遅くなって」
翔人はそう言いながら音が座っていた席の前の席に座り、音の方を見た。
「全然。呼び出したのはあたしの方だから。お疲れ」
音は足を組み、頬杖をついた。
翔人は「えっと、で、話って?」と音を見た。
音はニンマリと微笑んだ。
「五十嵐ってさあ、真央のこと好きでしょ?」
音にそう言われ翔人は一気に赤面し、「何で知ってんだよっ!?」と恥ずかしそうに音を見た。
「知ってるも何も、そりゃ誰だって分かるよ。知らないの真央だけじゃない?」
「ええっ...そうなの..?」
翔人が1人不安そうにしていると、音はまたフッと笑った。
「ねえ五十嵐」
「ん?」
「あたし、協力してあげよっか?」
そう言う音の表情を見て、翔人は「え...」と一瞬固まった。
翔人は不思議そうに言う。
「え、それはありがたいけどー... 何で?」
「何でって?」
「あ、いや協力してくれるのは素直に嬉しいけど、佐原が俺に協力して何のメリットがあんのかなーって?ほら、わざわざこんな時間作ってまでさ...?」
翔人がそう言うと、今度は音が不思議そうに言った。
「メリット?必要?それ」
音に言われ、翔人は「あ、いや...」と言葉を失った。
音は翔人を見て微笑むと、「あたし真央と仲良いし?だから」と言ってから身を乗り出して言った。
「深海陸って知ってる?西高の」
「知ってるけど、何で深海?」
「深海くんさ、真央と結構仲良いみたいで毎日のように2人、LINEしてるんだよね〜。真央も満更じゃなさそうだし、危険だと思う」
音はそう言いながら頬杖をついた。
「危険って...まあ、南が深海と仲良いのは知ってるけど。でも幼馴染って言ってたし、1年の時からよく遊んでるみたいだけど付き合ったりはしてないんだろ?ならもう、友達なのかなーなんて...」
翔人は苦笑しながら音を見た。
音は呆れたように言う。
「五十嵐ってどんだけ能天気なの?見たでしょ?先週の大会で女子が深海君にキャー♡ってみーんながうっとりしてたところ」
「えっ、ああまあそれは練習試合とかでも割とそうだったけど...」
「深海君ってかっこいいもんね?」
音は翔人の落ち込んだ表情を見ながらニヤニヤして言った。
翔人は「だ、だよなあ〜...」と苦笑。
「でも、五十嵐も十分人気者だし、勝算あるよ」
「まあ、慰めてくれてありがと...」
翔人は肩を落とした。
すると音は真顔になり、不思議そうに翔人を見て言った。
「別に慰めとかじゃないよ?あたし、勝算のない提案なんかしないから」
そう言う音を見て、翔人は「えっ」と呟いた。
「勝算って...佐原、何かいい考えでもあんの?って、俺のことなのに人任せは良くないか..」
「五十嵐は今のところ普段通りにしててくれればいいよ。あたしに任せて」
音はそう言ってまた微笑んだ。
「なにそれ、めっちゃ怖いんだけど...」と翔人。
「大丈夫。五十嵐は絶対真央と付き合えるよ」
自信満々にそう言う音を見て、翔人は何とも言えない気持ちになった。
何を考えているのかまったく分からない。
「あ、まった!でも俺、南がもし深海のこと好きなら応援するし、邪魔したりはしたくないから変なことはすんなよ?!」
「変なこと?そんなことしないよ〜」
翔人が恐る恐る「...何、する気なの?」と聞くと、音はまた自信満々な表情で人差し指を立てた。
「ナイショ」




