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出会い

※今回は黒頭巾のおっさん、ビリー視点です。

俺の人生は、かつて憧れた英雄譚とは真逆のモノだった。



生きるために金が欲しくて、身体がダメになるまで無茶なダンジョンアタックを繰り返した。

得られる未知の鉱物は二束三文で国に買い叩かれ、気の合う仲間はほとんどが死んだ。



やがて国が滅び、有力な勢力も崩壊するか別の土地へと拠点を変え、ここら一帯にはいくつかの村が点在するだけになった。



それからは平和だった。

魔物が頻繁に襲いかかってきても、人間の悪意に殺されることは無い。

ならばこれでいいじゃないか。



しかし俺は“あの”荒原から決別出来ずにいる。

死んだ仲間たちの思い出が、あるいは断末魔が俺をその場所へと連れて行く。



今日もそうだった。

ダンジョンの跡地を巡り、手を合わせる。

一通り回った後は適当な魔物を倒して、行商人から小銭でも得ようと、気楽に考えていた。



そこで出会った。

豊かな黒髪と、幼いながらも鮮烈な美貌。

東洋系の血が混じっているような、異国的な雰囲気を醸している。

衣服は襤褸と言っても差し支えない代物だが、この幼女の美しさは全く損なわれていない。



「おい!大丈夫か!」



こちらを無感動に見つめる瞳はその数瞬後に閉じられ、彼女は膝からくずおれた。

···気絶しているが、命に別条は無さそうだ。

とはいえ放っておくのは危険すぎる。

まずは拠点へ連れ帰り、介抱しなければ。



◆◆



介抱しなければ、とは言ったが。

俺には子供の世話を焼いた経験が無い。

とりあえずベッドには寝かせたが、さて、ここからどうしたものか。



「···んぅ」

「···起きたか」



──と思っていたら彼女が目覚めた。

まずは何か言葉をかけてみるか。



「···なぜあんな場所に1人でいたんだ」



疑問の解消も兼ねて質問した。

少し怒っているような口調になってしまったが。



「わかんない」



分からない、か。

大人でも危険な場所で、10歳にも届かないような子供が1人でいるなど通常ならあり得ない。

食うのに困った親が棄てたのかもしれない。

それなら闇商人に売っ払われそうなものだが。



「···そうか」



ぐううううううう



狭い部屋に、大きく可愛らしい腹の音が響く。

何か食わせるモノは···不味い乾パンとジャーキーくらいしか残っていない。

それでも何も食べないよりはマシだろうと、菓子袋から乾パンを1つ取り出す。



「···これ、食うか?」

「ありがとう」



俺が手渡した乾パンを、小さな口を開いて齧る。



「おいしい」

「······そうか」



この乾パンはなんとなく口寂しい時に食べる為のもので、非常食も兼ねている。

お世辞にも美味ではない。

それなのに彼女は微かに笑みを浮かべ、《《おいしい》》と言った。



「···もう一つ食べるか?」



こんな粗末なモノしか与えられない自分を情けなく思いながら、俺はこの後のことを考えていた。

···とりあえずノックスの許に預けておけば間違いは無いだろう。

アイツは少しばかりうざったいが、根は優しい奴だからな。


配信するまでが遠い_(:3 」∠ )_

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