第八話 海沿いのコンビニ
## 第八話 海沿いのコンビニ
待ち合わせは、
海沿いのコンビニだった。
かなは車を降りると、
少しだけ夜風に肩をすくめる。
空気が、
昼より少し冷たい。
駐車場には、
黒い車が停まっていた。
「あ。」
助手席側のドアが開く。
りゅうが軽く手を振った。
「こんばんは。」
「こんばんは。」
かなも小さく頭を下げる。
その時。
運転席側から、
ゆうきが降りてきた。
黒いパーカー。
第一話の夜と、
同じ格好に少しだけ近い。
「……どうも。」
ゆうきが軽く会釈する。
かなも慌てて頭を下げた。
「こんばんは。」
数秒、
少しだけ沈黙が落ちる。
その空気を崩すように、
りゅうが笑った。
「とりあえず、
なんか飲みます?」
「行こ。」
かなは小さく頷く。
コンビニの自動ドアが開く。
温かい空気と、
揚げ物の匂いが流れてきた。
かなは飲み物コーナーの前で立ち止まる。
「甘いの好きなんですか?」
隣から、
ゆうきの声が聞こえた。
かなは少し驚いて顔を上げる。
ゆうきは、
かなが手に取ったカフェラテを見ていた。
「え、まあ。」
「なんとなく、
そんな感じした。」
「どういう感じですか。」
かなが少し笑う。
ゆうきも小さく笑った。
「夜にブラック飲めなさそう。」
「偏見。」
「違う?」
「……違わないです。」
思わず笑い声が重なる。
その瞬間。
少しだけ、
緊張がほどけた気がした。
レジを済ませ、
三人で外へ出る。
海風が静かに吹く。
遠くで、
波の音が聞こえていた。
「どこ行きます?」
りゅうが聞く。
ゆうきは缶コーヒーを開けながら、
夜道の先を見る。
「とりあえず、
少し走る?」
その言葉に、
かなの胸が少しだけ高鳴った。




