第七話 夜コース
## 第七話 夜コース
《夜コースってなんですか?》
かなが送ると、
数秒後に返信が返ってきた。
《特に目的なく走るやつです笑》
《雑ですね》
《だいたい海行って、
コンビニ寄って、
星見て帰ります》
かなは小さく笑った。
想像できる。
昨日見た、
黒い車。
海沿いの夜道。
静かな空気。
《かなさんも、
夜ドライブとかします?》
少し考える。
《たまに》
《眠れない時とか》
送信してから、
かなは窓の外を見る。
信号待ち。
前の車のブレーキランプが、
赤く滲んでいた。
《わかります》
《夜って、
ちょっと考え事しやすいですよね》
その文章が、
妙に自然に入ってくる。
かなは小さく息を吐いた。
不思議だった。
まだ数日しか話していない。
なのに、
気を遣いすぎなくていい。
そんな感覚があった。
その時。
《あ、でも》
りゅうから続けてメッセージが届く。
《ゆうきは、
無駄に遠くまで行きたがります》
《無駄に?》
《急に北部行こうとか言い出すので》
かなは思わず笑う。
《楽しそうですけどね》
送ると、
少しだけ返信が止まった。
それから。
《今度、
夜景でも行きます?》
かなの指が止まる。
突然だった。
嫌ではない。
でも、
まだ少しだけ早い気もする。
スマホを見つめながら、
かなは小さく唇を噛んだ。
その時。
《友達も一緒です笑》
続けて送られてきた文章に、
かなは少し肩の力を抜く。
《なら安心です笑》
返信を打つ。
送信したあと、
胸が少しだけ落ち着かなかった。
窓の外。
夜の道路を、
車のライトが静かに流れていく。
かなはふと、
あの日の星空を思い出していた。




