第五話 静かなやり取り
## 第五話 静かなやり取り
部屋の明かりを落とし、
かなはベッドへ寝転がった。
スマホの画面だけが、
小さく顔を照らしている。
《こんばんは》
りゅうから届いたメッセージ。
かなは少しだけ迷ってから、
返信を打った。
《こんばんは》
数分後。
《昨日、
星見に来てましたよね?》
かなは思わず笑う。
《行ってました笑》
《やっぱり》
《友達と、
絶対あの人達いたよなって話してました》
かなはスマホを見つめる。
なんとなく、
少し恥ずかしい。
《よく覚えてましたね》
送信してから、
小さく息を吐く。
知らない人とのやり取りって、
こんなに気を遣うんだ。
でも。
嫌な感じはしなかった。
数分後。
《星、
めっちゃ綺麗でしたからね》
その文章を見て、
かなはふと夜空を思い出す。
湿った海風。
静かな波の音。
遠くの街灯。
《かなさん、
星とか好きなんですか?》
少し考える。
好き。
なのかな。
でも。
《静かな場所は好きです》
そう返すと、
しばらく返信が止まった。
打ちすぎたかな。
かながそう思った頃。
《わかります》
《夜の海とか、
落ち着きますよね》
かなは小さく笑った。
その言葉が、
少しだけ嬉しかった。
無理に盛り上げようとしない感じが、
なんとなく楽だった。
気づけば、
時計は零時を回っている。
《そろそろ寝ます笑》
かなが送る。
数秒後。
《遅くまでありがとうございました》
《おやすみなさい》
かなはそのメッセージを見つめる。
それから、
小さくスマホを伏せた。
恋ではない。
まだ、
ただ少し気になるだけ。
それなのに。
眠る前、
かなはもう一度だけ、
夜空の写真を開いていた。




