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あの日、あの場所で見た星空  作者: ともり。


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第四十一話 助手席のいない夜

## 第四十一話 助手席のいない夜


別れてから、

一週間が過ぎた。


かなは仕事を終えて、

一人で車を走らせていた。


行き先は決めていない。


ただ、

家へ帰る気になれなかった。


夜の海沿い。


窓を少し開ける。


潮風が静かに流れ込んできた。


かなは赤信号で止まり、

ぼんやり助手席を見る。


誰もいない。


当たり前なのに。


胸の奥が、

少しだけ痛かった。


コンビニへ寄る。


いつものカフェラテを取って、

レジへ向かう。


その時。


ふと、

思い出す。


『今日は甘いやつ。』


ゆうきの声。


かなは小さく息を吐いた。


忘れようとしてるのに。


気づけば、

どこにいても思い出してしまう。


車へ戻る。


静かな車内。


音楽を流しても、

なんだか落ち着かなかった。


かなはカフェラテを開ける。


少し甘い。


でも。


今日は、

その味が少し苦く感じた。


スマホを見る。


ゆうきとのトーク画面。


最後の会話は、

別れた日の『気をつけて帰ってね』だった。


かなは指を止める。


送りたい言葉は、

いくらでも浮かぶ。


『会いたい』


『寂しい』


『まだ好き』


でも。


送れない。


送ったら、

全部崩れてしまいそうで怖かった。


窓の外を見る。


夜空には、

少しだけ星が見えていた。


かなは小さく目を閉じる。


あの日。


最初に星を見た夜へ、

戻れたらいいのに。


そう思ってしまうくらいには、

まだゆうきが好きだった。


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