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あの日、あの場所で見た星空  作者: ともり。


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第三十三話 小さなすれ違い

## 第三十三話 小さなすれ違い


「ごめん、

今日ちょっと遅れる。」


夕方。


ゆうきから届いたメッセージを見て、

かなはスマホを握り直した。


《全然大丈夫》


返信を送る。


でも。


少しだけ、

胸が静かに沈んだ。


今日は、

久しぶりに休みが合った日だった。


かなは少し前から、

この時間を楽しみにしていた。


窓の外を見る。


夕焼けが、

ゆっくり夜へ変わっていく。


《仕事長引いてる》


続けて送られてきたメッセージ。


《ほんとごめん》


かなは小さく息を吐く。


怒ってるわけじゃない。


ゆうきが忙しいのも知ってる。


でも。


会いたかった。


その気持ちは、

ちゃんとあった。


《無理しないでね》


送信する。


数秒後。


《かな優しい》


その文章を見て、

かなは少しだけ困ったように笑った。


優しいんじゃない。


ただ。


困らせたくないだけ。


夜。


結局、

会えたのはかなり遅い時間だった。


「ごめん。」


車へ乗った瞬間、

ゆうきが小さく言う。


かなは首を横に振った。


「大丈夫。」


そう答える。


でも。


いつもより、

少しだけ声が固かった。


ゆうきも、

たぶん気づいている。


静かな音楽。


海沿いの道。


いつもの景色なのに、

今日は少しだけ空気が違った。


「かな。」


ゆうきが前を向いたまま言う。


「ほんとごめん。」


かなは窓の外を見る。


怒りたいわけじゃない。


責めたいわけでもない。


ただ。


楽しみにしてたって、

言えなかった。


その時。


「……かな?」


ゆうきが少し不安そうに名前を呼ぶ。


かなは小さく笑った。


「なんでもない。」


でも。


胸の奥には、

小さな寂しさが残ったままだった。


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