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あの日、あの場所で見た星空  作者: ともり。


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第二十九話 返事

## 第二十九話 返事


帰り道。


車の中は、

いつもより静かだった。


音楽は流れている。


でも。


かなの頭の中には、

さっきの言葉がずっと残っていた。


『好き。』


思い出すだけで、

胸が熱くなる。


助手席で、

かなはそっと窓の外を見る。


暗い海。


流れていく街灯。


全部が、

少し夢みたいだった。


「……ごめん。」


ゆうきが小さく言う。


かなは顔を上げる。


「急すぎたよね。」


ゆうきは前を向いたまま苦笑した。


「勢いっていうか……

なんか、

言わないと後悔しそうで。」


かなはその横顔を見る。


少しだけ不安そうだった。


たぶん。


強引に答えを欲しいわけじゃない。


ただ、

ちゃんと伝えたかっただけ。


その気持ちが、

かなにはわかった。


「……嬉しかったよ。」


かなが小さく言う。


ゆうきが少し驚いた顔をする。


かなは自分の手を見る。


まだ、

さっき繋いでいた温度が残っている気がした。


「私も、

ゆうきといる時間好き。」


声が少し震える。


でも、

ちゃんと伝えたかった。


「落ち着くし……

もっと一緒にいたいって思う。」


ゆうきは何も言わなかった。


ただ、

少しだけ笑った。


その表情を見た瞬間。


かなの胸の奥が、

じんわり熱くなる。


赤信号で車が止まる。


静かな沈黙。


でも、

その沈黙は苦しくなかった。


かなは小さく息を吐く。


それから。


「……だから。」


ゆうきの方を見る。


少しだけ恥ずかしい。


でも、

逃げたくなかった。


「よろしくお願いします。」


かながそう言うと、

ゆうきは数秒黙った。


それから。


「こちらこそ。」


少し照れたように笑った。


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