第二十七話 繋がる指先
## 第二十七話 繋がる指先
波の音だけが、
静かに響いていた。
かなはゆうきを見る。
近い。
暗くて表情ははっきり見えない。
でも。
少しだけ困ったように笑っているのがわかった。
「……ごめん。」
ゆうきが小さく言う。
かなはゆっくり首を横に振った。
「ううん。」
指先が、
まだ少しだけ触れている。
離そうと思えば、
離せる距離。
なのに。
かなは動けなかった。
夜風が、
静かに二人の間を通り過ぎる。
その時。
ゆうきの手が、
そっとかなの手に重なった。
かなの胸が、
一気に熱くなる。
でも。
嫌じゃない。
むしろ。
安心するみたいに、
力が抜けていく。
「……かな。」
名前を呼ばれる。
かなは小さく顔を上げた。
ゆうきは少しだけ迷うように、
かなを見る。
「俺、
かなといる時間好き。」
かなは息を止める。
波の音が遠い。
心臓の音だけが、
やけに大きく聞こえた。
「夜コースも。」
ゆうきが少し笑う。
「かなとだと、
なんか特別になる。」
かなは視線を落とした。
嬉しい。
苦しいくらい。
その気持ちが、
胸いっぱいに広がっていく。
「……私も。」
かなが小さく呟く。
「ゆうきといると、
落ち着く。」
ゆうきが少しだけ笑った。
それから。
そっと、
かなの手を握り直す。
強くはない。
でも。
離したくないって気持ちが、
ちゃんと伝わってくる温度だった。




