第十七話 夜の誘い
## 第十七話 夜の誘い
仕事が終わる頃には、
空はすっかり暗くなっていた。
かなは駐車場へ向かいながら、
小さく肩を回す。
今日は少し疲れた。
でも。
スマホを見ると、
自然と口元が緩む。
《今日もお疲れさまです》
ゆうきから、
一時間前に届いていたメッセージ。
かなは車へ乗り込みながら返信を打つ。
《お疲れさまです》
《今日はちょっと疲れました笑》
送信して、
エンジンをかける。
車内に静かに音楽が流れ始めた。
その時。
《じゃあ、
夜コースします?》
かなは思わず画面を見る。
数秒、
意味を考える。
《今からですか?》
《無理なら全然大丈夫です》
続けて送られてきた文章に、
かなは少し笑った。
押しつけがましくない。
その感じが、
やっぱり心地よかった。
《りゅうさんも?》
かなは送る。
数秒後。
《今日は仕事らしいです》
かなの指が止まる。
二人。
その言葉が、
急に現実味を帯びる。
嫌じゃない。
むしろ、
少し嬉しい。
でも。
少しだけ緊張する。
スマホを見つめながら、
かなは小さく息を吐いた。
《少しだけなら》
送信する。
既読がつく。
それからすぐ。
《迎え行きます》
かなは思わず笑ってしまう。
窓の外。
夜の道路を、
車のライトが静かに流れていく。
気づけば。
かなは、
その時間を少し楽しみにしている自分に気づいていた。




