第十六話 昼のメッセージ
## 第十六話 昼のメッセージ
翌日。
かなは仕事中にも関わらず、
何度もスマホを見てしまっていた。
もちろん、
通知なんて来ていない。
「かな。」
向かいから、
美咲が呆れた顔をする。
「朝からずっと見てない?」
「見てない。」
「いや見てる。」
かなは思わず苦笑した。
「そんなわかりやすい?」
「わかりやすい。」
美咲はレモンティーを飲みながら笑う。
「で?
昨日どうだったの。」
かなは少しだけ視線を落とした。
どうだった。
そう聞かれると、
うまく説明できない。
楽しかった。
落ち着いた。
帰りたくなかった。
でも。
恋愛って感じとも、
まだ少し違う気がした。
「……なんか、
空気が心地よかった。」
かなが小さく呟く。
美咲は少し驚いた顔をした。
「かながそう言うの珍しい。」
「そう?」
「うん。」
かなは窓の外を見る。
昼の空。
昨日の星空が、
まだ頭の中へ残っていた。
その時。
スマホが小さく震える。
《お疲れさまです》
画面を見る。
ゆうきだった。
かなの胸が、
少しだけ跳ねる。
《仕事終わりですか?》
かなは思わず笑った。
まだ昼休みなのに。
でも、
返信したくなる。
《まだ仕事中です笑》
数分後。
《頑張ってください》
短い文章。
それだけなのに、
かなは少しだけ嬉しくなってしまう。
「うわ。」
美咲がニヤける。
「顔。」
「やめて。」
かなはスマホを伏せる。
でも。
口元の笑みは、
なかなか消えてくれなかった。




