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あの日、あの場所で見た星空  作者: ともり。


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十四話 助手席の景色

## 第十四話 助手席の景色


車へ戻ると、

フロントガラスに小さな水滴がついていた。


「雨?」


かなが空を見上げる。


「ちょっとだけですね。」


ゆうきがワイパーを動かす。


細かい雨は、

すぐに夜へ溶けていった。


車はまた、

海沿いの道を走り出す。


助手席で、

かなは窓の外を眺めていた。


暗い海。


時々見える街灯。


濡れた道路に、

ライトが反射している。


静かだった。


でも、

気まずくはない。


その空気が、

かなには少し不思議だった。


「かなさん。」


ゆうきが前を向いたまま言う。


「はい?」


「その曲、

好きなんですか。」


流れていたのは、

さっき星を見ながら話していた曲だった。


「あ、好きです。」


「やっぱり。」


「なんでわかったんですか。」


「さっきから、

ちょっと口ずさんでるので。」


かなは思わず顔を隠した。


「嘘。」


後ろから、

りゅうの笑い声が聞こえる。


「かなさん、

めっちゃ恥ずかしそう。」


「やめてください……。」


かなは小さく笑いながら、

窓の外を見る。


少し照れる。


でも。


嫌じゃなかった。


その時。


「この辺、

晴れてたらもっと星見えるんですけどね。」


ゆうきが言う。


かなは空を見る。


雲の隙間から、

小さく星が見えていた。


「また来ればいいですよ。」


ゆうきのその言葉に、

かなは少しだけ息を止める。


また。


その言葉が、

胸の奥へ静かに残った。


車は、

濡れた夜道をゆっくり走っていく。


かなはふと、

窓に映る助手席の景色を見る。


そこには。


少しだけ楽しそうに笑う、

自分の姿が映っていた。


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