第十三話 帰り道のコンビニ
## 第十三話 帰り道のコンビニ
「ちょっと寄っていい?」
海沿いの道を走っている途中、
ゆうきがそう言った。
「もちろん。」
かなが頷く。
車は、
小さなコンビニへ入った。
深夜の駐車場。
外には数台の車が停まっている。
店内の明かりだけが、
妙に明るく見えた。
「なんか買います?」
りゅうがドアを開けながら聞く。
「んー……
温かいの欲しいかも。」
かなも車を降りる。
夜風が、
少しだけ冷たかった。
コンビニへ入ると、
温かい空気が身体を包む。
かなは飲み物コーナーの前で立ち止まる。
「また甘いやつ。」
隣から、
ゆうきの声がした。
かなは思わず笑う。
「今日くらいいいじゃないですか。」
「まあ、
寒いし。」
ゆうきはブラックコーヒーを手に取る。
かなはその横顔をちらっと見た。
「ブラック好きなんですね。」
「眠くなるので。」
「大人。」
「かなさんも、
いつか飲めますよ。」
「絶対無理です。」
二人で小さく笑う。
その時。
「はい。」
ゆうきが小さな袋を差し出した。
「え?」
「朝買ったやつ。」
袋の中には、
月桃の葉に包まれたジューシーが入っていた。
かなは目を丸くする。
「なんで持ってるんですか。」
「今日、
夜長くなるかなと思って。」
かなは思わず笑った。
「準備良すぎません?」
「ゆうき、
そういうとこある。」
後ろからりゅうが笑う。
かなは月桃の葉をそっと開く。
ふわっと、
独特の香りが広がった。
「懐かしい。」
かなが小さく呟く。
「好きなんですか?」
「小さい頃、
よく食べてました。」
かなは少し笑う。
その表情を見ながら、
ゆうきも静かに笑っていた。
外へ出る。
コンビニの灯りの向こう。
夜の海が、
静かに広がっていた。
かなはふと思う。
帰り道なのに。
まだ、
帰りたくなかった。




