第十二話 夜道の途中
## 第十二話 夜道の途中
「そろそろ戻るか。」
ゆうきがそう言って、
車へ向かき始める。
かなはもう一度だけ、
夜空を見上げた。
風は少し冷たい。
でも、
嫌な寒さじゃなかった。
車へ戻る。
ドアを閉めた瞬間、
静かな暖かさに包まれる。
「生き返る……。」
かなが小さく呟くと、
後ろからりゅうが笑った。
「わかる。」
エンジンがかかる。
車はゆっくりと坂道を下り始めた。
窓の外。
街灯が少しずつ増えていく。
助手席で、
かなは缶のカフェラテを両手で持った。
まだ少し温かい。
「眠くないですか?」
ゆうきが前を向いたまま聞く。
「大丈夫です。」
「ならよかった。」
小さな会話。
でも、
その空気が不思議と落ち着いた。
ラジオ代わりに流れている音楽。
暗い海。
時々見えるコンビニの灯り。
全部が、
ゆっくり流れていく。
「かなさんって、
休みの日なにしてるんですか?」
りゅうが聞く。
「んー……
カフェ行ったり、
ドライブしたり。」
「やっぱ夜派。」
「りゅうさんもじゃないですか。」
「まあ。」
後ろから笑い声がする。
その時。
赤信号で車が止まった。
静かな沈黙が落ちる。
かなはぼんやりと窓の外を見ていた。
すると。
「……また、
星見に来ます?」
ゆうきが小さく言った。
かなは一瞬、
言葉に詰まる。
誘われた。
その事実だけで、
胸が少し熱くなる。
「……来たいです。」
かながそう答えると、
ゆうきは少しだけ笑った。
信号が青へ変わる。
車はまた、
静かな夜道を走り出した。
かなは窓に映る自分の顔を見る。
少しだけ。
嬉しそうに笑っていた。




