表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海賊島の墓標  作者: 西季幽司
終幕
PR
47/49

独白②

 水谷信二は高給を餌に黄鶴楼に誘い出しました。彼の居酒屋を破産に追い込み、多額の借金を背負わせたのは私です。上手い投資先があると話をもちかけ、全てを奪っておいてから彼を罠にかけたのです。

 長谷川真理子も同じです。人材派遣会社を通して高級を餌に彼女を雇い入れました。

 渡辺さん、森友さんと交友関係があり、窃盗事件のことは良く知っていました。長谷川真理子が森友さんの宝石類を奪ったという確証がなかったので人を雇って、長谷川真理子のことを調べさせました。森友家を辞めてから、彼女の夫にはギャンブル癖があり、多額の借金がありましたが、事件後に全て、返済していました。盗んだ宝石を売って金に換えたのでしょう。警察ではありませんから、それで十分でした。彼女が窃盗犯です。渡辺さんは健太の為ならいくらでも用立てるつもりだったと警察に話したと聞きました。健太のことがなくても、三宅さんという若い女性が死んでいる。罰を受けるべきです。

 三人を罠にかけたところで、日野の交通事故の話を聞きました。亡くなった和田慎太郎君一家は、うちが開発したマンションの住人でした。丁度、黄鶴楼で働く料理人が欲しかった時でした。慎太郎君両親の無念が、わがことのように思えました。日野のような人間が許せなかった。どうせ生きていても仕方がない人間です。両親に代わって、恨みを晴らしてやろうと思いました。

 それでも、両親が望まないことはしたくない。「何でも構わない。何でも良いから、もし、恨みを晴らしたいと思っているのなら、あなたが大切にしているものをひとつください」そう言って、何かをもらうことで、彼らの気持ちを確かめました。

 そうそう。預かった絵は健太の部屋にあった黄鶴楼の写真と一緒に、黄鶴楼の基礎として埋めました。墓へのお供え物です。

 こうして私の計画はどんどん膨らんで行ったのです。

 最後は鈴木雅哉です。

 彼はうちの会社の社員でした。会社の面汚しのような男です。計画を実行するとなると、彼をどうしても黄鶴楼に招き寄せたくなりました。幸い、社内に鈴木と親しかった人間が何人かいて、その内の一人が、逃亡中のやつに接触することに成功しました。そして、「絶対に安全な隠れ家がある」と黄鶴楼へおびき寄せることに成功したのです。

 無論、香港にいるリサさんの両親のもとにも会いに行き、大事なものを預かって来ました。日本に出発前に食事に行き、そこで撮った家族写真でした。それも黄鶴楼の基礎として埋めました。

 こうして、舞台は整いました。

 私は東口に成りすまし、クルーズ船のニューウィン号を操船して宇和島へと向かいました。そう、黒髭の船長は私だったのです。ドーランで顔を黒く塗り、付け髭をして変装しました。船が趣味で、船舶免許を持っています。ニューウィン号は私の持ち船のひとつでした。

 先ずは長谷川真理子と希を船に乗せ、黄鶴楼に連れて行きました。そして、彼女を殺害しました。彼女を絞め殺したのは私です。

 遺体は部屋に置きっぱなしにしてあったのです。希が長谷川真理子に成りすましました。そして、私は宇和島港に戻ると、水谷と日野を連れて、再び黄鶴楼に戻ったのです。

 翌日、宇和島港で鈴木に柴崎夫婦をピックアップして、黄鶴楼に連れて行きました。その後、宇和島港に戻った後、陸路で再び黄鶴楼に向かいました。

 港からの道は黄鶴楼で行き止まりに見えるよう作ってありましたが、実際は壁の向こうに道が続いています。庭の築山の横の壁の裏側には階段があって、外から簡単に侵入できるようになっていました。

 そこから黄鶴楼に忍び込んで、地下につくってあった秘密の部屋に潜みました。勿論、マスターキイを持っていましたので、どの部屋にでも自由に入ることができました。そう、三つ目のマスターキイがあったのです。水谷がひとつ、希がひとつ、そして私がひとつ、マスターキイを持っていました。

 柴崎亜由美の殺害は偶然でした。彼女が塔を登って行くのに気がついて、後を追って行き、突き落としました。

 そうそう。前掛けのことを話すのを忘れていました。

 黄鶴楼を建設している時、一度、現地を下見に行きました。近所をぶらぶらしていると廃村の外れに廃校舎があって、校庭にお地蔵さんがいました。それも何故か五体。

 六地蔵と言って、六対の地蔵が並んで立っていることが多いのですが。六体の地蔵の内、一体が失われて五体になったのか、或いはもとから五体の地蔵しかなかったのか分かりませんが、五体の地蔵が仲良く並んで立っていました。

 彼らがここの主なのだと思いました。唐突に、あの場所を五主島に偽装するアイデアを思い付きました。五主島にもバブル期に再開発の計画があって訪れたことがあったのです。

 幸い、海から来ると、あの場所は島にしか見えない。島だと言って、やつらを連れて来れば、誰も疑わないでしょう。逃げ場のない島に閉じ込めておいて一網打尽にする。そんな悪魔のような計画が頭に浮かびました。

 五主島に五体の地蔵、そして五人の生贄。それが最初のアイデアでした。柴崎亜由美の夫は余計でしたけどね。五繋がりで考えている時、彼ら五人が仏教の五戒に反していることに気がつきました。それに気がついた時には、それこそ小躍りしましたよ。神の啓示だと思いました。神が私に彼らを殺せと言っているように思いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ