13話 神様
突然、空から眩いばかりの光が線上に我が家へと降り注ぐ。
「何事だ!?」
いつもポワポワなフラニーも真剣な表情で空を見上げていた。
フラニーがこれほどまでに警戒する事が起きていると言う事か。
固唾を飲んで見守っているとフラニーが突然前へ飛び出して行った。
「フラニー、どうしたんだ!?」
フラニーは、庭石を拾って空へと投げた。
「証拠にもなくまた現れたな! 獲物泥棒め!!」
訂正、フラニーは、平常運転だった。
パコ~ンと良い音とともに空から声が聞こえて来た。
「あいた~! いきなり、こんな大きな石投げるとは何事か!!」
声の主は、光にそって降りて来た初老の男だ。
おでこをさすっている姿と周りを飛んでいる羽の生えた幼児達がガクブルと怯えていなければ、その神々しさに圧倒されたかもしれない。
「とりあえず、アンタは、誰だ?」
「ふん、吾輩は、神である! そして、そのおっかない女をどうにかしてくれ。」
今にも飛びかかりそうなフラニーをなだめながら話を聞く事にした。
「で、その自称神様が何のようで?」
「自称ではないわ!! まぁ、良い。 お前達に折り入って頼みたい事があるのだ。」
「断る。」
「そうか、聞いてくれるか。 実はな、ちょっと異世界が大変な事になっていてな、お前達に手伝って欲しいのだ。」
「だから断ると言っただろうが。」
「なに心配せずともちゃんと報酬として何でも願いを叶えてやろう。」
「それは、本当か!!」
「アマタ、何処から現れたんだ?」
「細かい事は、気にするな。 それより、僕の願いを早く叶えてくれ! 僕は、アナタが神様だと信じていた!!」
「いや、まだ異世界にすら送ってなんだが?」
「チッ、ならば僕達を早く異世界に送ってくれ! さっさと滅ぼして願いを叶えてもらう!!」
「いや、だから俺は行かないから!」
アマタの欲望全開で話がどんどんと進んで行ってしまう。
何としてでも阻止したいのだが。
「それに俺達が行っても何もできないだろう?」
「本当にそう思っているのか?」
自称神は、フラニーの方に目を向ける。
俺は、そっと目をそらした。
「でわ、魔方陣を発動する。」
「ちょっと待て!」
俺の制止虚しく展開されていく魔法陣。
そして一段と強い光を放った瞬間、俺は横っ飛びで魔法陣の外へと出た。
「あっ」
体制を立て直し、振りかった時には、フラニーやアマタの姿はなかった。
「・・・・おまえさんがいくら無知でも転移魔法陣が緻密な制御で行われている事は、何となくわかるだろ?」
「・・・・まぁ、あいつらとの付き合いも長いからファンタジー設定は、ちょくちょく聞いている。」
「・・・・でわ、どうして避けたのだ?」
「・・・・なんというか、体が反射的に。」
「3人分の転移エネルギーで2人を送り、途中で一人抜けた事で魔法陣の不安定化、吾輩でも何処に飛ばされたか分らなくなったぞ!!」
「元はと言えばアンタが無理やり巻き込んだからだろ! 神様なんだからどうにかしろよ!!」
「吾輩にも出来る事と出来ない事くらいあるわ!!」
「威張るな!!」
その日、神様襲来により、嫁と友人が行方不明になった。
後に分った事だがうちのペットRABI-Ⅲも飼い主であるフラニーの危機に魔法陣の中に飛び込みついて行った。
無事でいてくれ、異世界の人達。
「何やっているんだ、皿洗いが溜まっているだろう?」
「クッ、神使いの荒い奴め。」
「なに言ってやがる、夫婦で営んでいる喫茶店の大事な従業員を異世界に飛ばしたんだからこれくらい当然だ。」
「ボクチン関係ないのに・・・・。」
「お前ら2人で必死にフラニー分働け。」
「「これが噂に聞くブラック企業か。」」
「一人前に働けるようになってから文句言いやがれ。」
「「クッ」」
神様とついでに魔王をフラニー達が帰って来るまでの間、バイトとして雇う事にした。
当然、拒否権無しの給料は、賄い料理のみである。




