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神器の巫女  作者: あぼのん
第三章 闇の黒狼と頑こ姫
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第12話 旧帝国海軍の誇る超弩級戦艦金剛型の一番艦であり、英国生まれの貴婦人でもあるという艦艇を日本人のおまえが知らないのかっ!

 それから適当な店に入り悠紗の解説付きでアニメグッズなどを見て回るのだが、正直よくわからない。

 しかしPRETTY LIVEのグッズを見つけると、クローディアはやっと知っているアニメがあったので例の金髪のキャラのアクリルキーホルダーを手に取って見つめる。


「ふむ、クローディアはエミリー推しであったな、妾は断然まこにー推しではあるが同じ三年生推しとは気が合うな」

「は、はいソウデスね、ワタシもウレシイです」


 笑顔で言う悠紗であるがなにを言っているのかよくわからなかった。


 ゲーセンで初めてやったシューティングゲームはとても難しくて、上手くいかないのがとても悔しかった。


 本物の銃を使っていればあんなゾンビの群れなど簡単に倒せたのに……


 途中クレープ屋があったのでそこでちょっと休憩、悠紗が鼻の頭に生クリームを付けながら齧り付いている、芳乃がそれをティッシュで拭ってやっている姿を見て、本当に姉妹みたいだなとクローディアは微笑ましく思った。

 その横で健登と弥命がお互いのクレープを一口ずつ交換しているのだが、弥命は恥ずかしそうにしながらもとても嬉しそうだ、そしてそれに気が付いた芳乃と悠紗がなぜか怒りながら自分のも食えと強引に健登の口に押し付けている。


 本当に皆仲が良い……本当に……



 悠紗のお目当ての物を買いにあるお店に行くと、そこはどうやらフィギュア屋らしいのだが、様々なアニメキャラやゲームキャラ漫画キャラなどの人形がショーケースの中に飾ってあった。

 中には健登も知っている漫画やゲームのキャラやロボットなんかもあるので、そこそこに楽しめるお店であるのだが、弥命や芳乃、クローディアにとってはまったくわからない世界であった。


「あ、あの芳乃さん……この女の子はその……なんでこんなに薄着なのでしょうか?」


 とある巫女の恰好をした萌えキャラのフィギュアを指さしながら、弥命は恥ずかしそうに芳乃に尋ねるのだが当然わからない。


 あんたもおんなじくらい破廉恥な恰好してたけどね、と芳乃は思いつつ答える。


「さあ? 男どもはそういうのが好きなんでしょ」


 まあその通りであります。大好物です。

 しばらく眺めていると悠紗が目的の物を見つけたのか箱を二つ持ってやってきた。


「これだこれ! 金剛改二Ver2.1と専用の41cm連装砲セット!! 最近発売されたばかりでこれはとても出来がよい、この日の為にハーデウスに貰った小遣いを使わずにとっておいたのだ!」

「ふーんよくわからないけどよかったわね」


 嬉しそうにしている悠紗を余所にあまり興味を示さず適当に答える芳乃。


「よくわからないとはなんだっ! 旧帝国海軍の誇る超弩級戦艦金剛型の一番艦であり、英国生まれの貴婦人でもあるという艦艇を日本人のおまえが知らないのかっ!」

「知らないわよそんなの、なんか名前だけは強そうね」

「はぁぁぁぁぁ情けない、これだから最近の若者は……」


 がっくりと項垂れながら言う悠紗。


 最近の若者はって……あんたいつ生まれよ、ってか何千年以上も前なんだっけそういや。


 そんな二人のやりとりを見てクローディアが興味深げに質問してくる。


「ユウサ、それはなんですか?なにやら戦艦と言う言葉が聞こえましたけど」

「おおっ! クローディア、おまえは興味があるのか!! これはな、「艦隊これくしょん」と言うゲームに出てくる艦娘と総称されるキャラの一人だ」

「?」


 悠紗がなにを言っているのか全然理解できない。


「そうだ! おまえにもぴったりの艦娘がおってな、こっちに来い」


 そう言うとクローディアの手を取り引っ張っていく悠紗。

 その姿がとても楽しげでいて、クローディアも多少戸惑ってはいるが楽しそうではあるので、芳乃は「ま、いっか」と思った。


「こいつはビスマルク、旧ドイツ海軍の主力戦艦である艦娘だ」

「ビスマルク? いや、これは女の子ではないのですか?」

「そうだ、船は昔から女に例えられるであろう? だから艦娘なのだ」

「ビスマルク……これが、ビスマルク……?」


 悠紗は、おまえにピッタリだな!と親指を立てると自分の金剛を買いにレジに行ってしまった。


 どうしよう……これ……


 レジにはやたらとガタイのいいグラサンにスキンヘッド、口髭を生やした見るからに怖い感じのおっさん(ファルコンってあだなにしようかな)が座っているのだが、悠紗は特に臆する様子もなく近づいて行って言い放つ。


「おいおっさん、こいつをくれ」


 うわぁ……怖いもの知らずですね悠紗ちゃん。


 おっさんはグラサンの奥から悠紗をジッと睨むとスクっと立ち上がり見下ろす。


「いらっしゃいませー、お嬢さんこちらをお求めとはお目が高いですねえ」

「そうであろう! 妾は違いのわかる女であるからな」


 なんだかコーヒーのCMにでも出そうなことを言っている。


 見た目に反して低姿勢で尚且つ高い声のグラサンハゲ店員。

 まあなんだ、そりゃそうだよね店員なんだし商売だもんね、だったらもうちょっと見た目を丸くしたほうが……いや、人は見た目よりも中身だよねうん。


「それじゃあ金剛改二本体と、連装砲セットで合わせて24800円になります」


 値段を言われて不思議そうな顔をする悠紗、その手には諭吉さんが2枚握りしめられているのだが……あれ? 5000円ほど足りなくないですか?


「なにを言っているのだおっさん、14800円の間違えであろう」

「はい、それはこちらの金剛のお値段です。それと別売りの連装砲が10000円で24800円になります」

「?」


 尚も悠紗は首を傾げてよくわからないと困った表情をしている。

 見かねた芳乃が説明をすると悠紗はぶるぶると震えだし怒りだす。


「はああああああっ!? なんだそれはっ! インチキではないかっ!!」

「しょうがないでしょ、まあわたしも詐欺じゃんとは思うけど、そういうもんらしいんだから」


 店員の前でインチキだの詐欺だの言うなよ……おっさんちょっと泣きそうになってるぞ。


 悠紗は涙目で芳乃を見つめながら懇願するように言う。


「芳乃ぉぉ……」

「ダメよ、わたしだって今月厳しいんだから貸さないわよ」


 まだ何も言ってないでおろうに……チッっと舌打ちしながら次の標的を見る悠紗。


「健登ぉ……」

「嫌だね」

「弥命ぉぉぉ……」

「え? あ……あの……やっぱりダメですっ! 芳乃さんが厳しくするのならわたしもそうしますっ!!」


 弥命なら情に訴えればいけると思ったのになかなかに手強い、最近芳乃の悪影響か前はよくジュースとかアイスを買ってくれたのにとても厳しくなっている気がする。

 そんな悠紗の様子を見てクローディアがおずおずと言う。


「ゆ、ユウサ、よかったらそれ、ワタシが買いましょうか?」

「なっ!? ほんとうかクローディア!!」


 悠紗は飛び上がり喜んでいるのだが、それを芳乃が慌てて止めに入った。


「ダメよクローディア! こんな高価なものを買ってあげるなんて、そうやって甘やかすから図に乗るのよこの子は」

「なんだとっ! どうしてそうやっていつもいつも妾の邪魔をするのだおまえはっ!!」

「あんたもそんな、人にたかるようなみっともない真似はやめなさいっ!!」

「きぃぃぃぃぃいいっ!! なんという言い草、芳乃なんて嫌いだっ! ベーっ!!」


 なんて憎たらしい顔をするんだこいつは、舌を出してあっかんべーをする悠紗にイラっとする芳乃であった。


「Kein Problem.いいんですヨシノ。これは大切なトモダチへのワタシからの最後のプレゼントです。だから、ワタシにこれを買わせてください」

「でも……わかったわ、クローディアがそこまで言うなら、でも全額はダメ! 高すぎるわ、半分ずつにしなさい」


 それでも結構な額だとは思うが、まあそれくらいが落としどころだろうと思い仕方なく承諾する芳乃であった。

 悠紗もそういうことならばと承諾、元々自分で払うつもりだった額より2000円も安くなったのだ文句はないだろう、それよりもクローディアと半分こずつでお買い物をしたことがとても嬉しそうであった。


「バァァァアアアアアアニングラアアアブ!! 妾はクローディアが大好きだ!」


 叫びながらクローディアに飛びつく悠紗、芳乃の方をチラ見しながら「小うるさい姑のようなどっかの娘とは大違いだ」と嫌見たらしく言っている。


 マジで引っ叩いてやろうかしらこいつ


「ミンナもよかったらなにか一つ好きなものを選んでください、代金ならキにしないで、これはワタシからのキモチですから」


 笑顔でそう言うクローディアであったが、棚に並ぶフィギュア達を見つめて三人は思う。



 え? この中から選ぶの……?




 とりあえず気持ちだけをありがたく受け取り、そろそろお昼にしようとするのだがその前に。


「ちょっと待ってて」


 芳乃が少し遠慮気味に健登に言う。


「ん? なんだよ?」

「ちょっと……花摘みに」

「なーにが花摘みだよ、便所だろ早く行ってこいよ」

「うっさいわねっ! ほんっとーーーにデリカシーの欠片もない奴ねあんたっ!」


 まあこれは怒られて当然である、ついでなので一緒に弥命と悠紗もお手洗いへと行くことにした。

 健登はクローディアと二人で待つことになるのだが、そう言えばこの二週間、弥命や芳乃それに悠紗が絡まずにクローディアと二人きりになることなど一度もなかった。

 何を話していいのやら途端にわからなくなり気まずい雰囲気が流れ始める。

 クローディアもそうなのであろうか?通路の壁際に二人黙って並んで立つ。

 しばらくそうして三人を待つのだが中々戻ってこない、どうして女子のトイレというのはこうも長いのか、健登はだんだん苛々してきてしまった。

 するとその様子を察したのかクローディアが口を開いた。


「ごめんなさいタケト……ワタシと一緒にいるのはツマラナイですか?」


 しまったああああああ!! なにをしているのだ俺は、女の子にそんな気を使わせてしまうなんて、場を繋ぐこともできないなどなんてつまらない男なんだっ!


「あ、いやごめんそんなことはないよ、そういやクローディアはなにか見たい物とか欲しい物はないのか?午前中は悠紗の行きたいとこばっかだったからさ」


 そう聞かれてクローディアはしばらく考え込むのだがさしあたって欲しいものはない、行きたい場所と言われてもアキバのことはよく知らないので……ハっ! そうだった。忘れるところであった。肝心な場所があったではないか。


 クローディアは当初の目的を思い出し、行きたい場所その目的の物を健登に尋ねる。


「タケトが知っているかどうかわかりませんが、地下にある……」

「地下? どこの?」


 クローディアは真剣な表情をして大声で言い放つ。


「地下で売られていると言う巨大ロボットがミテミタイですっ!!」



 とんだ赤っ恥をかいた。

 クローディアは顔を真っ赤にしながら、帰ったらルーデルの奴をボコボコにしてやろうとそう心に決める。

 健登は笑いながら落ち込んでいるクローディアをフォローする。


「まあよくあるネタだしな、誰に聞いたんだよそんな話?」

「ちょ、ちょっとしたチジンです」


 それにしてもそんな下らないネタを誰が考えたのか、まあそれを信じた自分も馬鹿ではあるが、気を取り直してクローディアはもう一つ興味がある物を健登に尋ねる。


「タケト、ガチャ……ガチャ? と言う物もウソなんですか?」

「ああ、ガチャガチャってのは本当にあるよ、やってみたいの?」

「ちょっとキョウミあります」


 辺りを見回すと反対の壁際にガチャガチャの機械が並べられている、アキバと言うのはどこのお店に入っても必ずどこかしらにガチャガチャが置いてあるから便利である、なにが?

 まだ芳乃達は戻ってこないので二人はそこへ行きガチャガチャをすることにした。

 何種類もあるガチャガチャを眺めて物色するクローディア、アニメのキャラクターをはじめ、動物や車や船なんかの模型、それからなにやらよくわからない植物や食べ物などいろいろあるので迷うのだが一つ選びこれにすると健登に言う。

 機械に百円玉を二枚入れてレバーを回転させると「がちゃがちゃがちゃ」と音を立ててカプセルが飛び出してくる、なんだかよくわからないがおもしろい。

 クローディアが取り出し口からカプセルを取り出すと、その奥からもう一個カプセルが転がり出てきた。


「ワォッ! これは当たりですかタケト? フタツでてきました」

「いや、それはたぶん機械が壊れてて二個出てきちゃったんだよ、そんなことあるんだな」

「そうですか、ちょっとザンネンです。けどお金は一個分なのでオミセの人に返してきます」


 クローディアはちょっぴり残念そうな顔をしながら店員を探そうとするのだが、健登がクローディアの耳元で小さく呟く。


「いやクローディア、黙って貰っちゃおうぜそれ」

「でも、それはヨクナイことです」

「いいやっ! これはきっとドイツに帰っちゃうクローディアにアキバの神様がくれたプレゼントだ! そういう事にすればいいっ!!」


 そんな神様が居るのか……と、クローディアはまたも騙されるのだがまあそれはそれでいいか。

 きっと居るのだろう、居てもいいじゃないそんな粋な神様が、ガチャガチャを一個おまけしてくれる粋な神様なっ!


「そういう事ならば、ダンケシェーンGott、じゃあコッチ、ワタシがお金を入れて獲った方はタケトにあげます」

「いいのか?」

「ヤー、なにが入っているのか早くアケテ見ましょうタケト」


 クローディアはワクワクしながらカプセルを早く開けようと催促する、学校でのクローディアは明るくはあったがいつも冷静でいて大人びた雰囲気であったので、ガチャガチャ一つにこんな風に子供のようにはしゃいでいる姿を見て、健登もなんだかつられてはしゃいでしまう。


「よっしゃ! じゃあ、せーので開けるぞ!!」

「セーノ?」

「合図だよ合図、なんとなく合わせろっ!」


『せーのっ!』


 二人同時にカプセルを開けるとどちらも中身は、金髪碧眼の女の子のキャラクター「エミリー」のキーホルダー人形であった。


「あぁぁぁあっ! ダブったぁぁぁぁ」


 健登が残念そうに声をあげる。


「ダブ? なんですか?」

「おんなじのがでちゃったことをダブるって言うんだよ」


 日本語は難しい、なぜ同じ物がでて「ダブる」なのか?よくわからない。

 同じ物が出て健登は残念がっているがクローディアは嬉しそうに言う。


「おそろいですね、とても嬉しいですタケト、ワタシはこれダイジにします。」


 そう言うクローディアの今まで見せたことのない普通の少女のような笑顔に、健登は一瞬ドキっとしてしまう。

 照れながら鼻の頭をポリポリと掻き健登は答えた。


「あぁ、俺も大切にするよ、ありがとなクローディア」


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