表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第四話:まだまだ続くプロローグ!

俺は反射的に電話を通話ボタンを押す。


「母さん! アンタ等一体何して――」


他の人からかもしれなにのに、俺の頭の中は両親である二人でいっぱいだったためか、俺は受話器に向かって精一杯の声で怒鳴ってしまった。


『あらあらごめんなさい。少し仕事が忙しくて』


そして受話器から聞こえてきたのは、他の人でなく、聞き慣れた母さんの声。

俺の怒鳴った声にも臆することなく、マイペースな感じで話しかけてくる。


『仕送りの事よね? 本当にごめんなさい。お母さん達も悪いとは思ってたんだけど……でもね。何も貴方たちの事を忘れていたんじゃないのよ?』

「いやいや。それでも電話の一つぐらいさぁ」


このマイペースっぷりに、さっきまでの俺の怒気はすっかりと萎えてしまった。


「それで、仕送りは何時ぐらいになりそうなの?」


気を沈め、冷静になった俺は、静かに母さんに問いかける。


『その事なんだけど……ごめんね。仕送りはもう出来そうにないの』

「はあぁぁああああっっ!!?? それ、どういう事だよ!?」


母さんの言葉に、冷静になったはずの俺の口からは家を震撼させるほどの声が飛び出る。


「いやお兄ちゃん。さすがにそこまでは――」


俺の心を読んだ琴美がツッコムが今はそれどころじゃない為スルー。

運が良かったな、琴美。


『み、耳がキンキンする~……』


受話器の向こうで母さんが弱々しい声で小言を漏すのが聞こえた。


「そ、そんなのはどうだていいんだよ! それより、どういう事だよ、仕送りが無理って!」

「えぇぇっ!! そ、そうなの!?」


しまった。

俺の発言で今の問題が琴美にバレてしまった。


『え、えっとね。こっちの仕事で少しトラブっちゃって……それで資金が必要になっちゃって……それでそれで、私たち研究者達が私たちの研究のためにカンパして、それでそれでそれで――』

「あ、ああ悪かったよ。だからテンパらずに要点を抑えてさ――」

『貴方たちの仕送り分はないんです』

「要点は抑えてるけど端折りすぎだろ!?」


この母親……ナメてんのか?


『よ、要は、私たちも貴方たちの仕送り分をカンパしちゃったの。そのカンパはこれからもし続けないと研究は続けられないから、毎月送るはずだった貴方たちへの仕送りは私たちの研究費へとなりました。よって仕送りは不可能に。――これで分ったかな?』


受話器の向こうでも、母さんがにへらといった笑みを浮かべているのが分る。

きっとうまく説明できた自分に浸っているんだろう。

この自意識過剰が。


「そんなので納得できるか。そもそも俺たちと研究、どっちが大切なんだよ?」

『そんなの貴方たちに決まってるわ!』

「でも俺たちの仕送り分を研究費にするんだろ?」

『そうよ。じゃないとそもそも稼げないもん』

「……ちなみにさ、今って何の研究をしているの?」

『世界のカップルが営みに励む時間は平均で何時か多いのか♪』

「それ絶対カンパするほど金いらないよね!? つか海外まで出向いて何研究してるんだよ!!」

『え~、大事な事よ? だって将来、貴方たちが恋人を作った時に、間違った時間にそういう行為に及ばないように、母さん達頑張っているんだから!』

「そんなのは俺たちの勝手だ! そもそも間違った時間って何だよ!?」

『え? それは――授業中とか?』

「そんな授業中になんてするわけないだろ!! そのぐらいの常識はもっとるわ!!」

『またまたぁ。母さん達が付き合ってた時なんか、時間なんて関係なく突き合ってたんだから♪』

「人の事言えないじゃないかよっ!! てめぇらは一体何考えているんだぁぁぁっ!!!」

『う、うぇ~ん! 京一がグレてしまったわぁっ!!』


ゼェゼェと荒い息を吐きながら、母さんが泣いているのを耳にする。

けどもう知るもんか。

今までこんなアホな事を考えている人たちの事を親と呼んでいたなんて……。

本気で目眩がしてきた。


「お、お兄ちゃん……」


琴美が心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。

……そうだな。

琴美の為にも、これからどうするのかを母さん達と決めないと。

場合によっては仕送りが出来ない今、俺たちも海外に行って生活しないといけないかもしれない。


『京一!! てめぇ実の親になんて口の利き方しやがるっ!!』


そこで、耳から離して持っていた受話器からギャーギャーと野太い声が響いてきた。

この声は……


「あ、お父さんだよ」


琴美が俺から受話器をひったくり、応答する。


「お父さん? 私だよ、琴美だよ~!」

『おぉ! その声は俺の愛娘、琴美じゃないか! 元気にしてたか? お父さんがいなくて寂しくないか? お兄ちゃんは悪戯してこないか?』


俺とは違って態度をコロっと変える父さん。

様子を見て分るとは思うが、父さんは琴美には甘いのだ。

それはもう親バカを超越し、駄々甘なほどに……。


「え、別に元気だし寂しくないし、最近の悩みはお兄ちゃんが悪戯してこない事だけど?」

『ぐっはぁ! さ、寂しくないのか、愛娘よぉっ!!』


琴美はそんな父さんにしれっと返答し、父さんに致命傷を与えていた。

たぶん吐血ぐらいしているんじゃないかな?


「それで、どういう事なの? 仕送りが出来ないって」

『ぐっ……じ、実はな……くっ、京一に代わりなさい』

「え~、お父さんは私には何もお話ししてくれないの?」

『ぐぬぬ……きょ、京一!!』


そらそうだ。

実の愛する娘に、「カップルがエッチする時間で一番多いのは何時なのかを研究するために、お前達の仕送り分を研究費に注ぎ込むんだ」なんて言えるわけがない。

言えたとしても、その時点で親子の縁を切っている。


「はぁ。分ったよ。琴美、受話器を貸して」

「むぅ。しょうがないなぁ」


何がしょうがないんだよ。

頬を膨らませ、自分だけ蚊帳の外になっている事に疎外感を感じているのか、不機嫌そうに俺に受話器を渡してくる琴美。

俺は「悪いな」と一言だけ言い、琴美から受け取った受話器を耳に持って行く。


「あー……父さん?」

『よぉ! 京一ぃ、てめぇ……琴美に手を出してんじゃねぇよ!』

「いや、誰もそんな事してないし。琴美だってそんな事言ってなかっただろ? 横に居たんだから分るんだぞ?」

『ちぃっ』


舌打ちしたよ、この父親。


「それでさ。いい加減これからどうすればいいのか話そうぜ。場合によっては俺たちもそっちに行った方がいいだろ?」

「えーーっ! お兄ちゃんとのラブラブ新婚生活は!?」

「ちょっと黙ってなさい! それと結婚していないだろ!」

『京一! 貴様ぁ!!』

「アンタもすぐに熱くなるな! 琴美がこんなに残念なのは今に始まった訳じゃないだろ」

『俺の愛娘が残念だと……。俺の愛娘がそうやってお前に愛の言葉を囁くのが……今に始まった事じゃない……だと……!?』


あーもう駄目だ。面倒くさい……。


『とまぁ、冗談はここまでにするか。これからの事なんだが――』

「ああやっと本題か。はいはいこれからどうすればいいんだ?」


半ば投げやりな感じで父さんの言葉を待つ。


『お前達二人には、俺の父さん。つまり爺さんの所に行って生活して貰う!』

「は、はぁぁ!?」

『大丈夫だ! 向こうには既に説明済み! 明日ぐらいには迎えの者が行くはずだ』

「え? ちょっ、迎えの者? つか父さん達って駆け落ちしたから繋がりはないんじゃ……?」

『あーあれは冗談だ』

「もうアンタらBA・KAだろ!!!」

『貴様! 親に向かってなんて口の利き方だ!! それでも元は父さんの玉袋の中に居たヤツの言葉か!?』

「嫌な言い方するな! 一瞬想像しちまったじゃねぇか!!」


普通に考えれば当たり前の事なのに、想像したら全身の毛穴が広がるゾワッとした悪寒が駆け抜ける。


『はぁ。だってな、駆け落ちの方がロマンがあるじゃないか。な? そう思うだろ?』

「BA・KA!!」


俺は勢いで通話を切り、叩きつけるように受話器を戻す。


「お、お兄ちゃん……?」


すると、琴美がトコトコと俺の所まで来て、不安そうに袖をギュッと握ってくる。


「あー……えっとだなー」


琴美のこの表情を直視できない俺。

理由はもちろん。こんなくだらない事なのに、本気で不安になっている琴美が可哀想だからだ。

だってなぁ。こんなにも不安そうにしているのに、「実は駆け落ちは嘘らしいから、明日からは祖父の家でお世話になるぞ」なんて……言えるかよ。


「し、心配するな。明日からは……」


そこで俺は言葉を詰まらせてしまう。


「あ、明日からは――」

「明日からお兄ちゃんの貞操を奪うか、私の純潔が奪われるかの愛のサバイバル性活は終わっちゃうの……?」

「いや、実は父さん達が駆け落ちしたっていうのは嘘らしい。だから明日からそこで世話になる。残念だったな、そんな腐った生活がおじゃんになって。ちなみに生活のイントネーションが違ったけど?」

「だって、わざとだもん♪」


琴美はテヘヘと舌を出して、照れた様な笑みを見せる。

まぁその微笑みには嫌悪の感情しか浮かばないんだが……俺は何も間違っていない。


「なんかそういう事らしいから、今日中に持って行く物の整理に取り掛かるぞ」

「そうだね! さぁ張り切っていこう!」


グーに握っている手を上に突き出し、元気よく自分の部屋に駆けていく琴美。

その後ろ姿は小さいながらも元気で溢れていて、寂しさを感じている様子は微塵も見えなかった。



何だか書いていて小説というより、ゲームのシナリオみたいになっちゃいましたね。

これは癖……なんでしょうか?

最近ちょっとした時間に短編を書いていたりしていると、こんな感じの台詞の回し方ばっかです……。


まぁそれだけ身体が書き方を覚えてきている……という事なんでしょうかね。それだったらまぁ、いいかな?


では、後二話しぐらいで本編に入れればいいなぁ……。


皆さん、読んでくれた人はどんな事でもいいので感想くださいね!

それが、作者の励みになりますから!


では、次話もよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ