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第二話:その次もプロローグから

続いて第二話の投稿です!



「あ、お早うございます、京一様。昨晩は眠れましたか?」


俺がリビング……いや、天井からシャンデリアが吊下がっている無駄に大きい室内に顔を出すと、さっき起しに来てくれた声の主が俺の事を向かいいれてくれた。


「お早うございます。眠れる事は眠れたんですけどね。起きた時は自分の部屋じゃなかった事に驚きましたよ」

「ふふっ。でも、慣れてくださいね?」


鈴がコロコロと転がるような甘い声に、俺の鼓動は緊張からか、速くなっていく。

彼女の名前は日下部 陽菜(くさかべ ひな)

歳は俺と同い年で高校二年生らしい。

綺麗なエメラルド色の髪を片方だけ可愛い花飾りで止めていて、明るい性格をしている我が家のメイドさんだ。


俺の祖父、神崎 源二(かんざき げんじ)は世界でも有名な神崎ブランドの創設者。

商品は女性を対象とした服や下着などの衣服類。

そんな祖父の家に預けられた俺と妹の琴美。

あれ? 二人暮らしは? と思うかもだけど……まぁこれに関しても色々あったんだ。



◇◆◇◆◇◆◇



【回想】


「琴美、そんなにくっついてくるなよ」

「え~? いいじゃんいいじゃん! 私たちは兄妹なんだよ?」

「だからくっつくなって言っているんだ。そもそもここは人が往来する道なんだぞ」

「ふっふ~。いいんだよ~? そんなに恥ずかしがらなくても。なんたって私たちは兄妹! シスコンは胸を張っていい事なんだから! だからこうやってくっついてたって平気! むしろ当然なんだよ!」

「俺は平気じゃないし、当然でも何でもない。ついでに言うと俺はシスコンじゃない」


それでも俺の腕に引っ付いてくる琴美を無理やり引きはがしながら、俺たちは晩ご飯の食材を買いに商店街へと向かっていた。


「あ、その前に銀行に寄らないと……」

「今日はお母さん達から仕送りが来る日だもんね。今思えば、こうしてお兄ちゃんとラブラブな毎日を過ごせるのはお母さんとお父さんのおかげだよ! もうこのまま帰ってこなくてもいいかも♪」

「お前最低だな。しかもラブラブな毎日って何だよ」


頭の中が若干……いや、かなり崩壊してしまっている妹に肩を落とす。

そんな俺の様子にも気がついていない我が妹は、


「はぅん! お兄ちゃんお兄ちゃん! 私たちって今どんな風に見えているんだろうね! 恋人かな? 夫婦かな? または援助交際!? 私はお兄ちゃんとならそれでもいいよぉ!」

「…………」


本当に頭が残念な妹だ。

だけど、こんなんでも俺の妹。

面倒は見てやらねば……。


「はいはい。無駄口はいいからさ。ちょっとお金を卸してくるまでここで待ってて」


季節は冬。

ヒューヒューと木枯らしが吹く寒空の下、俺は妹を銀行前に放置して一人だけ中に入っていく。

あ、中は暖房が効いてて暖かい。

外と違って暖かい室内は心が落ち着く。

あー今日はもうここにずっといようかなぁ。


「って、ちょっと待ったぁぁぁっっ!!!!」

「あ? 何だよ。銀行の中は静かにしないと駄目じゃないか。ほらみろ、周りが俺たちに注目している。すいませんね、ウチの妹が」

「え? あ、ごめんなさい」


俺が謝っている態度に感化したのか、反省の色を示す琴美。

そうそう。俺がちゃんと琴美の面倒を見て教育をしていかないと、将来はお嫁のもらい手が本気でいなくなるからな。


「って、これも違うよ! いやうるさかったのは本当にごめんなさいだけど、違うよ!」


琴美が俺の側にやってくると、顔を近づけながら小声で反論してくる。


「お兄ちゃん、さっき銀行に入る前と今、私の面倒を見るって誓ったばかりじゃん! それなのに何でいきなり私を寒空に放置!?」

「何当たり前のように人の心を読んでいるんだ。そんな不気味な人、俺は嫌だな」

「お兄ちゃん! 私もそう思うよ! まったく、近頃の若い者は」


琴美が腕を組んで年寄りのように憤慨してみせる。

俺の言動に体裁を保とうとしているその様子に、心の中で「若い者って……お前だってそうだろ」とツッコミを入れ、早くお金を卸そうと、ATNに足を向けた、矢先だった。


「またもや待ってよ、お兄ちゃん!」

「いい加減なんだよお前は?」

「私はね、もらい手がいなくても困らないよ? だってお兄ちゃんがいるからっ!!」

「今まさにその最有力候補である俺は消えたぞー」

「……あっ……」


さっき俺が言った、人の心を読む人は不気味という発言を忘れてしまったらしい琴美。

両手を上に上げ、ガッツポーズのまま、俺の言葉にその場で固まった。

俺は今度こそ琴美をその場に放置してお金を卸しにいく。


「はぁ。何でお金を卸すだけでこんなに体力を使うんだ……」


でもこれも、あの妹を毎日相手にしていると慣れてくるもので、受け流せているという事は少しは耐性が付いてきたのかもしれない。


「さて、いくら卸そうかなぁ……って、あれ?」


暗証番号を入力し、まずは残高をチェック。

だけども、そこに表記されていた数字は最後に卸した時とまったく変わっていなかった。


「お、おかしいな。母さん達、まだ振り込んでいないのかな?」


仕送りの日には必ず振り込んでいてくれる生活費。

けれど、まぁたまには一日ぐらいズレてしまう事もあるか。

それだけ仕事が詰まっていて、俺たちには申し訳ないと思いつつも、一生懸命に二人で仕事に取り組んでいるのかもしれない。

そう考えると、毎月毎月当たり前のように貰っていた生活費の大切さを改めて実感する。


(うん。先月分だってちょっとは残っているし、今日ぐらいは全然賄える)


晩ご飯分だけを卸し、俺は未だ固まっている琴美の元へ戻る。


「ほら。いつまでそうしているんだよ。早く買い物に行くぞ」

「お買い物? ふふっ、デートの間違いでしょ?」


復活していないのか、テンションは下がったまま、だけども台詞はいつもの琴美。


「どれだけ器用なんだよお前は!?」


そんな妹を引きずりながら、俺たちはまた寒空の下、足を進めていく。


「ふふっ、お兄ちゃん。シスコンはね、文化なんだよ。恥じゃないんだよ」

「だからそれ怖いって!」


まぁ今はちょうど冬休みだし、弁当とかお金を掛けなければ平気なはずだ。


プロローグはまだまだ続きます。


ええ、まだまだです!

それと、あとがきはプロローグが終わるまでは簡潔に済ませますね。


ではでは次回もよろしくお願いします!

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