第一話
ここはどこだ
目を開けると目の前には見たこともない景色が広がっていた
ガスも使っていないのに
火を出して料理をしている露店
掌の上には何もないのにそこから小さな花火を出しながら芸を披露している人
ここはとても発展している場所のようだ
だけどなぜだろうこんなにも見たこともない物ばかりなのになぜか寂しい
それでも俺が今までいた世界とは比べものにならない
ん?そもそも今までいた世界ってなんだっけ
断続的に頭痛がする
思わず手を頭に当てた
記憶が曖昧だ
だが目の前の景色が異常であると
それだけは何故か分かる
なぜだろう
とりあえずここにいてはいけないと思い
ふらふらとした足取りで路地に入っていく
すると何かに肩を掴まれた
「おい!」
酷く耳障りな声だった
頭痛もして機嫌がすこぶる悪い俺は
「なんだ」
とつい強い口調で反応してしまった
「お?やんのか!っとまぁいいこんなとこであったのも何かの縁だとりあえず分かってるよな?」
何か察しろと言わんばかりの態度に俺は
「いや、何も分からない」
と素直に答えた
すると男は明らかに機嫌を悪くした態度で
「分からなくてもいいんだ。とりあえず持ってるもん出しなそれで全部分かる」
その言葉に俺はこの状況を今更ながらに理解した
これはあれだまずい状況だ
とりあえず何か出してこの場をやり切ろうとポケットに手を入れるが…何もない
「すまない。今何も持っていないようだ」
と素直に答えた
すると男はそう来たかと納得した態度で
「あ?持ってないだと嘘だな」
少しからかうように言った
「嘘じゃない」
「なら嘘じゃない証拠見せてみろや」
その言葉に俺はポケットを裏返してみせてほらなと男に言った
すると男は
「本当に何もないのか体に聞いてみようじゃねーか」
と言って明らかに暴力に訴える姿勢に出た
これはマズい明らかに相手の方が体が大きいし
ここは1つ説得してみよう
「まぁあれだここで会ったのも何かの縁仲良く…
すると突然男の右ストレートが視界を覆った
思わずその場に横たわる
マズい……意識が飛ぶ
辛うじて意識が残っていた俺が最後に見た景色は
何か銀のネックレスのようなものを持ち去る男の姿だった
「なんだよ俺なにか持ってたのか…」
そんな独り言を最後に今度こそ意識を失った
何か見える
あれは……なんだ
「秋起きなさい、遅刻するわよ」
あぁ分かったよ母さん
母さんって誰だ?
また声がする
「大丈夫?」
今度は若い女の声だ
あぁ分かってるよ遅刻…するんだろ?
今…起きるって
だれだ?
目を開けるとそこには黒髪の女がいた
「あなた大丈夫?」
と心配そうに聞いてきた
「あぁ大丈夫だ」
大分意識がはっきりしてきて気づいたのがここが俺があのよく分からない男にやられた路地ではないということだった
「ここはどこだ?」
と彼女に聞いた
「ここはね私がお世話になってる教会のベッド
あなた路地で倒れたから心配でここまで運んできたの
でも良かったどこも折れてなくて」
彼女はホッとした様子で説明してくれた
「そうかありがとな、えっと…」
「ファリナ!私の名前よろしく」
「あぁファリナっていうのか俺は蓮沼 秋よろしく」
「はすぬま?しゅう?あんまり聞かない名前だけど
ま、いっかよろしくシュウ!」
「あぁよろしくファリナ
後、聞きたいんだがここはどこなんだ?」
「ん?ここはね第四番指定特別地区
通称スラムの果てだよ第四スラムとも言われてるね」
その言葉に俺は驚いた
「ここスラムなのか?」
不思議そうな顔で彼女は
「そうだけど何か変?」
「いや、こんなに栄えてたからてっきり町なのかと」
さらに不思議そうな顔で彼女は
「まち?っていうのがなんなのか分からないけど
栄えてるのなんてほんの一握り少し路地に入っちゃえばその名の通りボロボロで今にも崩れそう
ご飯も食べれない人たくさんいるし」
彼女は少し悲しそうな様子で説明してくれた
「そうか…」
それしか俺には言えなかった
今思えばこれが彼女との出会い
そしてこの世界での暮らしの始まりだったのだ
区切り悪いです




