64話 ルーク団長の災難
翌日、牢獄では朝からハンスからの締め上げが始まった。しかし、赤鬼と呼ばれるハンスに抵抗すればさらに地獄が待っている、そう感じた2人は洗いざらい吐くしか無かった。
拷問も朝から夕方まで続くと、こいつらも限界だろ。
「お前らは詐欺をしたのは認めるんだな。お前たちにはオヤジがいて、オヤジは貴族の指示を受けていたで間違いないないんだな?そのオヤジの指示でお前たちは詐欺を働いたって事で間違いないんだな?その貴族まではお前らは知らない、で間違いないなっ」
「「はいっ」」
カイトお坊ちゃまの訓練を終えた私は牢獄に来ている。数時間続いた拷問はそろそろ終わりが見えそうだ。奴らは全て吐いただろ。あの怯えきった姿からこれ以上はなにも引き出せないだろな。
「ハンス」
「はい、ルーク隊長」
「これ以上、こいつらからは情報は引き出せんだろう。ただオヤジの特徴と、そいつが娼館通いしてる事は分かったんだ。そいつを探せ」
「はい、承知!」
さ、これまで分かったこと、途中経過だがダウニー様に報告しなければな。セバスにダウニー様との面談を申請だ。
セバスにダウニー様への面談を頼む。
きっとダウニー様は今頃は家族で楽しい食事を囲っている頃だ。最近マーシュ家で出来たというミソを使ったミソ汁、あれを味わっている頃だな。親子水入らずのとこに水を刺しちまうのは気が引けるが、「分かった事を逐一報告せよ」とのダウニー様のご命令だ。
楽しい時間、申し訳ないと思うが仕方がない。
しかし、なんか美味そうな匂いがするな。微かな匂いだが、俺の五感が騒いでしょうがないぞ。肉?肉だよな?なんだ、牛肉か?それと合わさって漂う刺激臭これはなんだ?食欲が急に押し寄せてきたぞ。
それと、イカルンの匂いもするな。
やばいぞ。腹が鳴る。
まぁ、ダウニー様への報告が済んだら、私も食事にもありつけるだろう。
このなんとも言えない美味そうな匂い、なぜか口の中に溢れてくる唾液。ゴックッ。思わず飲み込んでしまったぞ。早く食いたい。
「ルーク団長、旦那様がお会いになるそうです。今すぐ旦那様の執務室でお待ちください。すぐ旦那様が参ります」
「あぁ、分かった」
美味そうな匂いを我慢しなきゃならないのは辛いが、まずは仕事が先だ。
その後にたっぷり食べるとするか。
俺は楽しみは《《最後に》》取っておく主義だからな。
ルーク団長はまだ知らない。
ルーク団長がご飯にありつける頃、イカルンスミ汁も、ガリガリクゥステーキも、隊員たちのお腹に納まり、ひと口も残らないことを。後悔先に立たずという言葉を実感する事も、ルーク団長はまだ知る由もない。
詐欺事件の実行犯を捕まえた事で、一時緊張から解放された隊長たちは、ダウニー様から賜ったイカルンスミ汁とガリガリクゥステーキのあまりの美味さにご飯を食べまくった。お腹いっぱい食べ、ルーク団長の分を残さずに平らげ、怒り狂ったルーク団長からのグーパンチを食らうことになるなんて思いもせず、ガツガツ口に運ぶのだった。
「うめー、これはやばい。牛肉との相性が癖になるぜ、ガリガリクゥだったか?」
「だろ?食べた後にも口に残るこの肉の美味さったらたまんねーな」
「イカルンスミ汁か?これも少し海臭い感じがするけどよ、これがまたいいな」
「ゴードン料理長が最近、新しい料理作りに目覚めたらしいぞ。もっと早く目覚めて欲しかったぜ」
「「「「「「「「「だなっ」」」」」」」」」
「おぉ、最近の食事が美味すぎてもう他の飯は食えねーぞ」
「「「「「「確かにっ」」」」」」
「お前、歯黒っ、マヌケだな」
「お前こそ、アホみてー」
「まあまあ、最高な気分だぜ」
「そうだな」
「みんなで黒い歯してよー、本当にマヌケだな、笑えるぜ」
グワッハハハ、ガハハ




