63話 ウーラとエドガー捕獲作戦
「ルーク隊長、見張りは外に10人はいますね」
「そうか。」
「まずは様子を見ろ。誰かが出入りするかもしれん。今はまだ静かに見張るだけだ」
「承知!」
夜の帳が降りる。
静かなもんだな、遠くで夜鳥の鳴き声が時折聞こえるくらいか?
静寂に包まれた頃。
「隊長、あれから随分時間が経ちました。もう人通りもなく、家の明かりもだいぶ消えました。どうしますか?行きますか?」
「ああ、まずは1人づつだ。見張りを捕まえろ、音を立てるなよ」
「「「「「「「承知」」」」」」」
闇に消える程の囁きは、風に揺れる木の葉の囁きにかき消され、奴らは気づくことも無い。
うっ、ぐっ、ぐあっ、ひぃ……ぐふっ
奴らの発する小さきひと言も木の葉の囁きにかき消される。音もなき制圧、まぁ、これくらいはお手のもんだ。
さて、中の人物を捕まえようか。
私は部下に合図を出す。一斉に、一瞬で制圧するためだ。
ガシャン、ドン、パリンっ。
お前たちもっと静かに出来んか?
「うわぁぁぁ、なんだ、おめーら」
「クソ、逃げ切れね、周り囲まれてやがる」
暴れる2人の男を押さえつけているのが見える。さぁ、誰が主犯か聞かせてもらおうか。
「お前ら、なんで捕まったのか、理由はわかるよな?」
「知らねーな、なんもしてねぇ奴を捕まえるって、騎士団は暇だなぁ…グァッ」
ハンス、血の気が多いなぁ全く。
「ハンス、これぐらいにしとくんだ、この2人には色々話を聞かないと行けないからな」
「おい、お前らもっと締めあげられたいのか?誰に物言ってんだ、こちらは騎士団長ルーク様だ。」
「「ひぇーっ、鬼隊長のかっ」」
「戦場の青鬼…………やべぇ」
そんな呼び名、どうでもいい。守るべきものがあるから戦っているだけだ。
「「すみませんでしたっ」」
私の顔がそんなに怖いか?
地面に頭擦り付けるように震えるこいつらをハンスらが縛り上げる。
孤高の大魔神と言われたダウニー様と並んで、戦場の青鬼と呼ばれた時もあったな。
こいつらを縛るハンスは戦場の赤鬼だったな。 チッ、久しぶりに聞いたぞ。
戦場では孤高の大魔神と呼ばれているが、ダウニー様は美丈夫だ。なんだったか、確かもう1つ呼び名があったな。女どもが騒いでたな。でも、まぁダウニー様はアマナ様に惚れちまって他に見向きもしねぇ、貴族には珍しい一途に奥様を愛していらっしゃるお方だ、尊敬して止まないな。
そんなダウニー様は立派な領主だ。民の声に耳を傾け少しでも領を良くしようといつも奮闘していらっしゃる。それを乱そうとするこいつら許さんぞ。
「さぁ、こいつらを牢獄に連れてけっ」
「はっ、承知」
その頃、少し離れた物陰に身を潜める男がひとり。額の脂汗を拭いながら闇にまぎれる。
「おっと騒がしいな。あいつら捕まったか。俺はずらかるぜ。あのお方に報告だ」
男の独り言も、先程の捕獲の物音にかき消され、静かに男も闇に消えた。




