62話 カイチェアの欠品
奴らが去った跡を部下に任せ、私は店主に話を聞くために店へと向かった。
「店主居るか?」
「はい、これはこれはルーク隊長、如何なさいましたか?いつものように見守りでしょうか。いつも街の安全を保って頂きありがとうございます」
「あぁ、それは気にしなくていい。俺たちの仕事だからな。それよりもだ。さっきこの店で男3人と小さい子を連れた客の話を聞きたい」
「先程の男の方たちの話ですか?いや、恥ずかしい話が私共で購入されたカイチェアが欠陥品だったようで、子どもが怪我をしたからって言われまして、治療費を支払ったんですよ。」
「なに?カイチェアだと?」
「はい、いかがなさいましたか?」
「いや、いい。話は聞いた、私はこれで失礼する」
まさかカイチェアに欠陥品だとはな。
あれだけ売れてるんだ、欠陥品も出てしまうのはそれは仕方がないとあの時は思ったさ。
しかし、奴らは数日後、姿変え、子供を変え、違う店で同じことを繰り返していた。
しかも、そのイスが全て【カイチェア】だった。これはなんか裏があるな。
「あいつら、常習犯だな」
「ルーク隊長、奴らが去った後どうしますか?いつものように跡つけますか?」
「ああ、そうしてくれ。いつものように俺は店主に話を聞く。お前はまたいつものように奴らの後を追って、その後の様子を調べろ。それとさっきの子どもにも忘れずに話を聞いてみてくれ。ま、調べてもまたいつもと同じ手口だろうが、あとで報告を聞く」
「御意に!」
奴らが去っていき、それを追う部下を見送り、私は奴らが出ていった店の店主から話を聞くため木工製品取扱の店へ足を運んだ。
やはりな。奴らの手口は治療費を貰うために繰り返されている。しかし治療費って言っても大した額じゃない。
奴らがこの手口を繰り返していることは間違いない、もう全て調べはついている。
大した金額を貰うわけじゃないならなぜこんな手間がかかることをしているんだ、わざわざ変装してまで。
ただ、確信したことは、このところカイチェアが壊れたとされ、それら全てに少額の治療費が支払われてる事。
少額だから店の店主は大事にはしない。
だから表沙汰になるのが遅れたんだ。
それが今徐々に噂が広がりつつある【カイチェアには欠品があって子どもが怪我をしたらしい】。噂というのは悪いことこそ広がりが早い。子どもがケガする欠陥品。そんな噂があれば誰も買わなくなってきて、悪い評判だけが広がる。奴らの目的はカイチェアの悪い評価を広めることか?
私の疑問は確信に変わった。
奴らの悪事はそれなりの制裁を。
マーシュ家の事業に悪事をする奴らにはそれなりの罰を与えなければなるまい。
奴らを捕まえるのは、今夜決行だ!




