52話 ケンケンパー
さぁ、今日も訓練の時間だぞー。
昨日は歌なんて歌ったからなー、走るの10分増えちゃったよー。
頑張ってるぞー、言葉が棒読みなのは疲れてるから許してー。
ね?そろそろ40分じゃん。
30分ならまだ良かった、だんだん慣れてきたからさ。
けど、追加された10分、いやー、キツイよ、ちょっと~!
ハァハァハァ…疲れたー!
もう動けないよー、ルークだんちょーは鬼だんちょーだよね。
「カイトお坊ちゃま。10分追加してみましたが、大丈夫そうですね。明日からも40分で参りましょー。」
うぇぇぇ、鬼~、鬼がいるよ。
鬼は外ー、豆?そうだ、豆がない!
まだ見てない倉庫あったよねー、もしかしたら豆、あるかもしれない。
大豆、小豆、金時豆~!
大豆は、豆腐、醤油とかー?
納豆は苦手だから、置いておこー。
小豆は、アンコだよね?アンコ、甘いよねー、甘すぎて美味しいから、もっと作って~なんて《《アンコ》》ールされちゃたりなんかしちゃったり?
金時豆は、ぜんざい作りたーい。
母さんが作るぜんざいっていったら、金時豆の冷たいぜんざいでしょー、あれ、好きなんだよなー、練乳増し増しでってね。…食べたいなっ、ぐすっ。
母さんのぜんざい、食べたいな~。
疲れたからかな?甘いの食べたいな~。
ちょっと甘いの恋しくなっちゃったな。
肩で息をしながら、息を落ち着かせよー。
「カイトお坊ちゃま、大丈夫でしたか?」
ん?ちょっと厳しくし過ぎたか?
まだ子供だ。急いじゃいけねーな。
泣かしちまったか?悪ぃことしたか?
ちょっと遊びも必要かもな。
「カイトお坊ちゃま、疲れましたか?」
「うん、ちょっときついよー」
「じゃ、少し遊びましょうか?」
え?いいの? 何するの?
楽しみ~。
「うん、遊びたい、何して遊ぶの?」
「そうですね~」
やばい、遊ぼうと誘ったがいいが、どんな遊びがいいのか、さっぱり思い浮かばんっ。
ルークだんちょー、なんか悩んでる?
道具もない、遊びらしい遊びもないしなー。
なんか無いかな?
ルークだんちょー、剣持ってんじゃん。
そーだ、アレがあるじゃん。
「ねー、ルークだんちょ?お願いがあるの。剣で、地面におーきな丸書いて」
「む?丸を書いてどうするんですか?
どれくらいの大きさの丸ですか?」
「えっとねー、これくらいの大きさで、丸をたーくさん書いてね。こんな感じでさ」
ボクはルークだんちょーに説明しながら丸を次々に書いてもらう。
「こうですか?」
はて?丸ばかり書いて、一体何すんだ?
そうそう、こんな感じ。ってさー、
剣をこんな感じに使っていいのかなー。
だんちょーがいいみたいから、気にしないー、ボク、気にしなーい。
「できたー、かんせー。」
「これはなんでしょ?遊べるのですか?」
ボクは自信を持って答えるよ。
「うん、これはこうやって遊ぶんだよ」
「ケン、パッ、ケン、パッ、ケンケン、パッ」
ん?なんだ?ケンパッパ?
なんだそれは?楽しいのか?
って、楽しそうだな。
「なんか思いつき?」
本当は前世の遊びだけどね~
「丸と丸を少しづつ離すと、素早さが必要で難しくなるはずー、それ出来るとすごくない?」
なんだと?もしや、そうだ、これは使えるな。
瞬発力もついて、体の釣り合いがとれるじゃないか!
しかも、体の中心の軸をブレないようできるな、なんと素晴らしい!
「私も試しても良いですか?」
だんちょー、なんか考えてる?
たのしーよ、やってみてー。
「うん、今度はだんちょーの番ね」
だんちょー、めちゃくちゃ素早いよ。
んで、そんな怖い顔でやんなくても。
さっきからケンパー繰り返してるじゃん。
なんか、忍者みたいだねー。
「ふ~、これはいいですな」
「我が騎士団で使わせて頂いても?」
「うん、いーよー」
ね、ね、たのしーでしょ。
これってみんなで遊ぶのかな?
ゴリマッチョ軍団が、ケンパーで遊ぶって考えたらウケるー。
「さて、今日はこれで訓練は終わりです。」
「はい。ルークだんちょー、今日もありがとうございました」「またね」
疲れを少しだけ見せた坊っちゃま。
私は今、猛烈に感動に震えてる。
カイトお坊ちゃまが考えた、このケンパーだったか?これは、とんでもないぞ。
剣をよける訓練に最適だな。
そんな素晴らしい訓練を、一瞬で思いつくなんて、あの子は天才かもしれん。
私はそんなこと考えながら、坊っちゃまのあのまだ幼い背中を見えなくなるまで見送った。




