41話 イヌマ、ナダンソウソウを献上する
「さぁ、契約魔法を交わしますよ。よく読んでサインをして下さい。」
んー、セバス、執事っぽーい。
って、執事だったー。
さっきの残念なセバスとは違うじゃーん。
「この【針千本飲ます】とは、えっと、本気ですか?」
そーよね、こんなの見ちゃうと、躊躇うよね?
「本気も、本気ですよ。針千本飲みたくないなら、マーシュ家を裏切らなければいいこと」
確かにー、裏切らなければ飲まずに済むんだよ、さぁ、どうするのー?
「ちなみに、この【針千本飲ます】と考えたのは、こちらにいらっしゃるカイトお坊ちゃまですよ。マーシュ家の嫡男であらせられますよ。怖いですか?いいえー、カイトお坊ちゃまは才能溢れるお方。また可愛いお方なんですよ、以後お見知りおきを」
ちょっとセバス、針千本飲ますってあれは約束破ったらダメよって子どものほんの約束の合言葉みたいなもんじゃないか。
もう、イヌマさんたら、ゲテモノでも見るように、ボクを見ないでー。
よし、笑っとこ。
コテッ、ママの真似もしちゃうぞっ。
「承知しました。契約させていただきます」
なに?さっきの絶望的な顔から、なんなのー、一瞬にして表情違うじゃーん。
案外チョロいかもねー、って。
グゲッ、ちょっと苦しいよ、パパ。
「は、なんだ。あのコテッって?息子にトキメクってなんだ。」
パパの力強いって。
ボクはパパの腕をパンパン叩く。
「カイトすまない。つい抱き潰してしまう所だった」
いや、パパ間違ってるよ、抱き潰すって違う意味に取れるってー、ダメでしょ?抱きしめ過ぎたじゃない?
どうやらイヌマさんはサインを終えたようだ。
「では、契約魔法、発動」
なんか、かっこいいー!
文字をなぞるように光がキラキラして、最後は一斉に青く光って、凄くキレイだ。
契約魔法を交わしたあと、イヌマさんはどっさりとナダンソウソウを献上してくれた。
ボクの目はキラキラ。
だって、玉ねぎ万能じゃん。
では、早速、豚汁作んなきゃ。
セバスにひと袋厨房に運んでもらう。
厨房に近くなると、あら汁のいい香りが漂ってきた。どうやらゴードン、ちゃんと手順通りに作ってくれたらしい。
「おまたせー、ナダンソウソウが手に入ったよ、早速さっきの続きしよーか。」
「お待ちしておりました、坊っちゃま」
「ゴードン、ナダンソウソウのこことここを切り落として、皮を剥いて」
「はい、仰せの通りに」
よし、これくらいでいいかな?
って、もう泣いてるのー、やだー、鼻水垂れてんじゃん。ばっちー。
「目に染みるよね、これ使って」
ボクが差し出したハンカチを躊躇いながら受け取るゴードン。
「使わせて頂きます」
おー、すごい勢いで鼻かんでるー。
「ありがとうございます、カイトお坊ちゃま。これは洗って返しますね」
いや、ゴードンの鼻水拭いたハンカチ、ごめんだけど要らないや
「そのハンカチ、ゴードンにあげる、いらないなら捨てても構わないよ」
「いえいえ、じゃ、ありがたくいただくです、ます。これは家宝にします」
え?家宝になんてしなくていーよー。
「家宝にしないと果報者になれないですよ」
いや、ゴードン。
ダジャレじゃん、面白くないからねっ。
チラチラ見たって、ダメ。
褒められたいって目線寄越してもダメだからねっ。
「さ、ナダンソウソウを縦に切って、そのあとは、こうして薄くスライスしていくよ」
あはは、ボクも泣いちゃうじゃないか。
目に染みるよ。嬉し涙もあるのかな?
もうすぐ豚汁ができるよー、あー、楽しみッ♡




