289話 甥っ子に会いたい!
「第二王子の息子は、白虎から猫になったその猫と契約してましてね」
白虎は変身もできるのね。猫、私あまり好きではないわ。猫が近づくとくしゃみが酷くなるもの。
それはそうと。
「あー、それでですね、なんかその白虎が猫になってなんか「世の中を見てくる」って言ってどこかに行ってしまったんですよ」
「まあ、私的には第二王子達はもうすぐマーシュ領に帰るはずですから、その道中が《《狙い目》》だとおもいますけどね。まだ5歳の子どもですよ、第二王子さえ抑えれば、問題なく攫えますね。その後はどうするかですね。」
それはそうね。
ダウニー様は媚薬で私に夢中にさせてしまえば良いわ。兄弟、私のものなんてね。
ダウニー様も美丈夫だし、子供さえ作ってしまえばいずれ私の息子が王家を継いで、ダウニー様の子を、ジルバート様の子だとすれば良いわ。
そうね、あの息子は、どこぞの幼児愛好家に売り飛ばせば良いのではなくて?
あの2人の子どもなら、容姿はいいいはずだから、売れるでしょう。
万が一、失敗したら、誰かに罪をなすりつければいいのだし。ハーレンを片付けるのにもいいわね。
「その傷や怪我を治した水はもう全て使ってしまったのかしら?」
「あー、水を入れて上下に振るだけで聖水になりましたよ。泡も出てました。不思議な水、素晴らしい。私がほしいくらいですね」
「それはできない相談だわね」
その頃、城の東の宮にジルバート。
「なあ、ダウニーが城に来て何日になる?」
減らない資料の山にうんざりする。
なぜだ?なぜ陛下は私に全てを押し付けるんだ。
ダウニーに会っているんだろ?
私も、我が可愛い弟に会いたいのにだ!
父上も、母上も、公務を私に丸投げして、全部私に押し付けて。
もう我慢ができん。可愛い弟に、可愛い甥に私も会いたい。
まだ一度も会ってないんだぞ。
ダウニーの息子はたしかカイトだったな。
母上は私が必死に仕事をこなしているのに、わざわざ私のところに来て、「カイトちゃんは可愛い」とか「カイトちゃんはダウニーの小さい頃をさらに可愛くした感じ」とか、「すごく賢いのよ」とか、「カイトちゃんが考えた料理がね、とても美味しいの」って自慢しに来るんだ。
私も、カイトに会ってみたい。
ダウニーの小さい頃に似てるだと?
そんなの可愛いに決まってる。
5歳か、ダウニーの5歳の頃も可愛かったな。「お兄様、ボクを肩車して」ってするおねだりポーズは、もうどんなに可愛かったか、思わず頬ずりしたもんだ。
あ、あと私が学園に行く時、「お兄様、ボクを置いて行かないで」って言われて、学園を遅刻したこともあったな。
5歳の時に父上から貰った剣で、「お兄様ボクと戦って下さい、ボクが絶対勝ちます」って息巻いて、私とダウニーとは7歳も違うのだ、勝てるわけないのに、必死に向かってくるのがまたな。まあ、もちろん私が勝ったのだが、その時の悔しそうな顔ったら、ポロポロ大粒の涙を流して、鼻をピクピクさせていたのも、可愛いかった。
そんなダウニーよりも、可愛いのだぞ。
私も会ってみたいのに、仕事が全く終わらない。
せめて、せめて、一度この目で見たい。
あー、ダウニー、大きくなって。
お兄様って言っていたのに、今じゃ兄上。そうじゃない、そうじゃないんだ。
よし、やめた、仕事辞めた。
父上と母上が困ればいい。
私は、我が弟、我が甥っ子に会いに行くんだからなっ。
よし、こうしちゃおれん。
「ジルバート様、もう何度目です?抜け出そうとしてもダメです」
「おい、離せ。私は弟に、甥に会いに行くんだ。離せ、離せよー」
グフっ。お前、王太子である私に、拳骨するのか?しちゃうんだな?
なんだお前、そう睨むなよ、そっちは泣き落としに騙されないぞ。




