290話 おばあちゃんとお揃い
着替えたんだけど、うーん。
おばあちゃんの好みかな?
襟が、レースで縁どりされたシャツ。
ベストに半ズボンに黒の革靴。
うん、レースで縁どり、金糸だよね。
何気にボタンは、これ、宝石?
なんか上質の生地だし、お高いよね。
もしかして今日のために作ってた?
しかも、サイズピッタリなんですけど。
何気に聞いてみよう。
「わー、すごーい、洋服もズボンも、靴までボクのサイズぴったりだね」
そこのメイドさん?ちょっと腰の曲がったおばあちゃんメイド。今、ピクって?
「はい、王妃様がカイト様に合う服をって仰いまして」
で?
じーっと見つめる。
いや、そこ顔赤くするとこじゃないから。
ニヤニヤするとこじゃないから。
表情隠しきれてないよ。
更に上目遣いで怪しむボク。
「「「「「「「「はぅ」」」」」」」」
ちょっと他のみんな、どうした?
「僭越ながら、カイト様。このようにサイズがぴったりなのは、カイト様のお召になった服からサイズを割り出したからですわ」
え?あー!って納得?
ボクの服から?いつの間に?
「ボクがこっちに着いてからにしてもこんなに早く作れるものなの?」
こんなに豪華なのに?どう見てもオーダーメイドだよねー。
「はい、実は王妃様がマーシュ領に行かれて戻られた時にカイト様の洋服1式を持ち帰りされてまして、その服や靴を元に作られましたっ」
あれ、最後は投げやり?
責めてないよ。ある意味攻めてるけど。
「そこまで?」
「はい、アマナ様からお借りしたようです」
「なるほど」 ママが絡んでるだね。
バタン!ドアが空いた先には、キレイに着飾ったお祖母様がにこやかにいらっしゃるぅー、今までこんな服見たことないよ。
しかも、ボクとお揃い。笑うしかないね。
「あら、カイトちゃん、似合うわ、可愛いわ、もう、うちの孫が1番可愛いわね」
満点な笑顔で両手の平を頬に当ててボクを見てるおばあちゃんは目がハート。
「セレナ様、ノックされましたか?」
ノックしてないね、あと、おばあちゃんの名前セレナなんだ、初めて聞いた。
「え?あ?してないわね。別にいいわよね?」
「行けません。親しき仲にも礼儀ありですよ」
おー、王妃様に向かって意見言える人すごい。しかも、《《親しき仲にも礼儀あり》》ってこっちでも使うんだね。
「もう、リリアンナは厳しすぎるわ。」
ん?この人、リリアンナさんって言うんだ。さっきボクの洋服のサイズの話をしてくれた人。偉い人なのかな?
「セレナ様、セレナ様はもういい大人ですよ。カイト様はセレナ様のお孫様です。しっかりしたお手本にならなければなりません。」
うぉー、リリアンナさん、強いっ。
ボクがちょっと驚いた顔をしていたからだと思う。
「ああ、カイトちゃん、このリリアンナはね、私の小さい頃の乳母なのよ、私の結婚と同時に王家に来て、ジルやダウニーも見てくれたのよ、だから、わたくしももうおばあ様なのに頭が上がらないのよ。」
クスッと笑うおばあちゃんの笑顔は、いたずらがバレた時みたいに笑う。
なんかおばあちゃんが可愛い。
「さあ、セレナ様、ちゃんとしましょう」
「もう、わかったわよ」
そう言ってドアを出て、閉めたドアを、今度はちゃんとノックして中に入ってきた。
「はい、これでいいでしょ?」
プクって、少し膨れた顔が可愛い。
おばあちゃん、可愛い。
「さぁ、カイトちゃん、皆様がお待ちよ。おばあ様と手を繋ぎましょう」
「はい」
おばあちゃんに手を引かれ、リリアンナさんの先導でボクはみんなが待っているお茶会会場へと進む。
ここも初めて通る道かな?どこまでも続く、同じ壁。白い蔓草模様が少し違うだけ。
んふふ!おばあちゃん、ご機嫌だ。




