281話 白虎キノセイの衝撃行動
え?どうして、どうして、どうしてルーク団長が?え?
パパの顔を見上げるとパパも苦しそうな顔してる。怪我してるのがルーク団長って知ってた?
早く、早く、早く、治さなきゃ。
ボク、胸が苦しいよ、涙が止まらない。
だって、仲間だもん。
いつも笑える人だったじゃん。
鬼団長は強いんじゃなかったの?
なんだよ、なんで怪我なんかしてんのさ。
何があった?ルーク団長が?どうして?
涙が溢れて、嗚咽が漏れる。
ふぇっ、うぐっ、うぅぅぅ。
我慢できない。
涙、止めなきゃ。
けど、溢れてくる。パパがハンカチで涙を拭いてくれる。
ボクの耳元で
「大丈夫か?」
そう囁くけれど、溢れる涙は止まってくれない。身体中が震える。
なんで?なんで?どうして?
「うん、ボクがんばるよ」
頑張ってみる。
近づくとよく分かる、かなり息遣いが荒い。我慢してるからか、時折フーって息を吐く。
落馬したって言ってた。
ルーク団長の額には玉のような汗が吹き出している。苦痛に歪む顔。
目隠し、耳栓をされてる。
足が有り得ない方向に向いてる。
だらんと垂れてる。
足が通常の2倍、パンパンに腫れてる。
痛みで意識がもうろうとして、熱で顔が真っ赤だ。
王座の陛下のおじいちゃんとおばあちゃん、宰相のおじいちゃんとおばあちゃん、そしてパパ。
みんなを見ると頷いてくれる。
うん、やる。
イカルダの女神様、どうかルーク団長を助けてください。
ボクは《《初めて》》真剣に祈った。
「カイト、待て」
え?キノセイの声が聞こえた、気のせい?
声の方へ振り向くと白虎のキノセイがいる。
「「「「「「「「「「「「うっ」」」」」」」」」」」」
「キノセイ」
なんでここに?
うちの屋敷からは出られないんじゃないの?
「カイト、この者の傷を治すのだろう?」
「うん」
「この者の足は有り得ない方向に向いている、ここに今聖水を掛けても、ちゃんと治らんぞ」
「え?じゃあ、どうしたらいいの?」
「私に手助けをして欲しいか?」
「ルーク団長の足が元に戻るならなんだってする、お願いキノセイ、ボクに力を貸して」
「ああ、分かった。では、私が【今だ】って合図をするまで、手出しはするな、いいな、絶対だ」
キノセイが今から何をするのか分からない。けど、ルーク団長を助けるにはこれしかないのなら、ボクは黙ってるよ。
キノセイは、ルーク団長に近づくと、ルーク団長の体をくまなく匂いを嗅いでる。
その瞬間。大きな口を開き、ガブッと太ももまで食いちぎった。
「ギャー」痛みで悶えるルーク団長
「きゃー」
「うわっー」
みんな大騒ぎだ。
「貴様、何してんだっ」
騎士たちが身構える、パパはボクを庇う。
王座のおじいちゃんたちの前に武装した兵士たちが今にもキノセイに襲いかかりそう。
一瞬で訳が分からない。
なんで?何してんだ。
キノセイ、許さない。
いっせいに切りつける兵士たちの攻撃を難なく避けるキノセイ。
「何やってんだよ、お前、許さない」
ボクは使った事のない攻撃魔法を頭の中で高速回転させて行く。なんだ?なにがある?攻撃、したことないよっ。
「カイト、早く、今だ!この者に聖水をぶちまけろ」
なに?今、何が起きてるの?
足を食いちぎられたルーク団長は
「ぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあァぁあぁぁぁあぁぁあぁっっっ」
痛みに悶え苦しんでいる、直後すぐに動かなくなった。
え?死んじゃやだよ。ルーク団長、ねぇ、お願い、死なないで。
「おい、カイト、何してるんだ、早く聖水を掛けろ」
ボクはキノセイを睨む。
そして、今、言われたことが頭の中をループする。
迷っていたらダメだ。
ボクは、意を決してルーク団長に聖水をぶちまけた。
キノセイに食いちぎられた太ももに、そして身体中全身に。
ガクガク震え、食いちぎられた痛みとショックでガクガク震え、泡を吹き出した。
ルーク団長、ルーク団長、ルーク団長!
「ルーク団長!」
しばらくすると、食いちぎれた太ももから血が止まり、肉が盛り上がり、そして足が生えた。
あ?え?えええーッ!
おじいちゃん、おばあちゃん達、パパ、みんなが目を見開いて、固唾を飲んで、キノセイの暴挙に驚愕し、恐怖におののいている。




