278話 聖水で人体実験してみた
朝。
怪我をした兵士が到着する前に確かめたいことがあるのよ、ペットボトルがちゃんと使えるか、どうしても気になる。
だからボクはちょっと実験。
ボクの部屋には、今、ボクだけ。
試すのは今。
ペットボトルは昨日のうちに洗っておいた。
ベッドサイドの机とイスがある。
机には、ペットボトル、水差し、水差しの中にはお水が入ってる。そして、昨日もらった剣だ。
出来たら針が欲しい。
でもないよ。
仕方ないから、勇気を出そう。
ボクはペットボトルの蓋を開け、水差しからペットボトルへ水を入れる。
そして、ちゃんと蓋をして、ペットボトルを両手で持ち上下に降る。
シャカシャカ音がして、泡がぷくぷくしている。うん、本当に炭酸水みたい。
いーち、にーい、さーん、しーぃ、ごっ
(シャカシャカ、シャカシャカ、シャカシャカ)
よし、5回振ったよ。
次は泡が落ち着くまで1分くらい待つんだったね。
待ちましたー、1分待ちましたー。
さあ、ちょっとドキドキだよー。
なぜか?それは今から人体実験するからでーす。
こんなテンションじゃなきゃできませーん。
心臓もバクバクしてる。
ボクは鞘から剣を抜き、これで用意は出来た。
さ、カイト、勇気を持て、勢いつけて、やるよ。
そんなふうに思わないと出来ない。自分自身で傷をつけるから。
ちょっと震えるけど、どの指にしようかな?
何かあっても、支障の無い指はどれ?
利き手とは反対の左手の小指になら支障が少ないよね。
よしっ。頑張れ、ボク。
パパとママからもらった大事な剣。
机から剣の先が少し飛び出すようにセットする。ペットボトルもすぐ側に置く。
タオルも置く。
よーし、頑張れ、ちょっとビビるけど、やるよ、やってやる。
その前に、忘れてた、呪文だ、呪文。
たしか、「ゆうじん」さんと、「ひろひと」さんの名前を組み合わせるんだったね。
えっと。
「ゆひうろじひんと」
なん?なんなの?光の輪っかがペットボトルを下からスキャンしてるみたい。
おー、ペットボトルにボクの名前がパソコンの文字入力みたいに表示されたよ。
なんかかっこいい、やばい、興奮しちゃった。うんうん、凄くいい。
これでこのペットボトルはボクのもの。
さあ、始める、頑張る、うん!
剣の先を、ボクの指でシュッとなぞる。
いたーい。血がプチってでてくる。
痛い、痛い、痛ーい。
早く、お水掛けなきゃ。
しまったー、蓋、閉めたままだったー。
血が滲むからペットボトルが血まみれ。
小指の指先がドクドク。心臓みたい。
痛い、傷口がズキズキしちゃう。
「痛い、痛いよ」
ちょっとこの剣、切れすぎじゃない?
ッッ、剣にキレてもね。
何とか、ペットボトルを開けた。
時々、傷口に当たって痛かった。
多分、これ炭酸水だよね?
しみる、絶対、しみるやつ。
でも、ちゃんと掛けなきゃ。
恐る恐るペットボトルの聖水であろう水を傷口にかける。
うぉぉぉぉーーー、しみる。
しみて痛い、痛い、痛い。
これ、治る前に、気絶しちゃうよー。
あぁぁぁ、あれ?痛くなーい。
痛くないよ。
傷口見るけど、さっきの傷はどこにもないし、痛くない。
「おーーっ」
痛くない、痛くなーい。
やっぱり、これは聖水だね。
傷も治しちゃった。
だけど、ボクのあの小さな傷で、あんなに悶えるんだよ。もっと大きな傷や怪我をした人は、どれくらいの痛みに耐えるんだろうね。気絶しちゃうくらいに強力。
それは、どうにかしたいけど、解決策が分からない。
さ、お片付け。
タオルで、散った血を拭ってお片付け。
ガチャ!
「カイト、起きたか?」
あー、カギかけてないや、そもそも部屋に鍵なんてないのよー。
そして今、パパの顔ー!
「カイト、どうした?血だらけじゃないか?なんだ、刺客か?どこだ?カイト無事か?」
「おい、セバスチャン、カイトが襲われた」
やばーい、やっちゃったー。
これ、絶対あとで怒られるやつ。




