275話 神官長、カイトを神殿に預けて欲しい
「なんて素晴らしい鑑定結果なのでしょう?」
いや、頬をそめてボクを見るのやめてー。
ボク、その気ないからねー。
幼児趣味?なんかやばいひと?
「少し、話をしたいのですが?お時間頂けますか?」
え?パパ?
「神官長、この子は《《私の息子》》のカイトだが、どうかしたのか?」
「これはこれはダウニー様。お久しぶりです。今日はご子息のお誕生日おめでとうございます」
「ああ」
パパ?ちょっと警戒してる?
「ご子息の付与されました魔法について少しお話がしたいだけですよ。カイト様のお父様のマーシュ辺境伯、いえ、ダウニー第二王子殿下、これは重要なことでございます」
ダウニー第二王子殿下には伝えなければならない。
難しい顔をした殿下の耳元で囁く。
「カイト様の魔法が全属性でございます。これは1度話をした方がいいですぞ。」
「あい、わかった」
「さ、カイト、少し話をしに行こう」
ん?パパと神官長と話するの?
わしはこの神童をどうしたい?
とりあえず捕まえておきたい。
これは、大変なことになる。
世界は、驚き、おののくだろう。
わしはとりあえず、神官達に今後の段取りをつける。
今は、待たせている客間に行くとするか。
「お待たせしました、第二王子殿下」
「ああ、それよりも話とはなんだ」
「カイト様を神殿で預からせて頂けませんか?」
「は?なぜだ、許可はできん」
「カイト様の鑑定結果は稀に見る結果です。まず【全属性魔法】、それだけではありません。【想像魔法】です。この魔法がどんなものかわしは想像もつきません」
「しかも、イカルダの女神様の保護と加護がおありになる。これは神殿で神の御子として祀らなけれなければなりませんぞ」
「神官長、なぜあなたにそんな権限がある?カイトは私の息子だ。神殿に閉じ込めて置くなんてことは、許さん」
なんで、そんな話になってるの?
え?やだよ、ボクはパパとマーシュ領に帰る。
「ボクはここには残りません。父上と一緒に、《《我が家》》へ帰ります」
「しかしですなっ」
「しかしもへったくれもあるか。話があるからと来てみれば、カイトを神殿に閉じ込めるだと?バカなことを言うな。この話は聞かなかったことにする、もう話は終わりだ。」
「第二王子殿下、お待ちください」
やだよ、またないっ。
パパに抱き上げられ、ボクたちは神殿を後にする。
イカルダの女神様、あなたを信仰する神官長さん、なんだかボクを神殿に閉じ込めるって言ってる。
冗談じゃない。
パパは止めようとする神官達を、睨みつけて先を急ぐ。誰もパパを止められない。
パパも止まる気ない。
パパの背の遠くで神官に囲まれた神官長がボク達をじっと見てる。
ブルっ、あの視線が怖い。
「カイト、大丈夫だ。心配するな。お前をどこにもやらないから不安にならなくていいからな。全く、神官長は何を考えているんだ。」
ぷりぷり怒るパパ、ボクもぷりぷりだ。
なんか嫌な気を残して神殿を後にする。
街中は、ボクや今日5歳になる子達のお祝いムードで盛り上がっている。
このまま、神官長がボクを諦めてくれたらいい。なぜボクは崇められなきゃいけないの?
街の賑やかさに反してパパとボクの気持ちは不機嫌だ。
ボクの、せっかくの5歳の、特別な誕生日を台無しにしたな。神官長、許さないぞ。




