267話 父として守る覚悟
「カイトが居なくなったり、何かあったら私もママも、アリも、そして屋敷のみんな、おじい様お祖母様、みんなが心配して、悲しむぞ、分かるな?カイトは自分の行動に責任を持たなきゃいけないんだ、理解したか?」
「はい」
そうだよね。ボクはペットボトルの使い方を知りたい、怪我人をちゃんと治したい、1人の秘密のお出かけにワクワクしたり、ペットボトルで怪我を治したらちょっと凄い人になれる気がした?そんな事ばかり考えてた。
パパ達に心配かける事、ちゃんと考えてなかった。
「それだけじゃないぞ。カイトは貴族なんだ、辺境伯嫡男で、王位継承権も持ってる。そしてイカルダの神様の加護持ち、幻獣白虎のキノセイ様とも、知り合いだ。」
だね、とりあえずキノセイとは、知り合いだね。
「そして稀人だ。これだけの価値があるんだ。ただの子どもではないな。」
そっか、そうだよね。今までパパの言うこと《《ちゃんと》》理解してなかった。
「狙われる可能性は大きい。それを《《しっかり》》自覚しなさい。いいな?」
うん、ボクは周りから狙われやすい条件が揃ってる。みんながあまりにも普通に接してくれるから、普通の子どもと同じように接してくれるから、だから、あまり危ないとか思った事なかった、よくよく考えたら狙われるっていう危機感が薄かったね。
「はい、ごめんなさい」
「ちゃんと反省するように、分かったな?」
「はい」
「よし、では、寝るぞ。パパと寝よう」
「うん」
ボクはまた時間かけて寝巻きに着替えて、パパと、パパの部屋に行く。
どうやらパパは、ボクをボクの部屋では寝かせたくないらしい。
心配かけたから反省。
そして、ボクはパパの部屋の大きなベッドに潜り込む。
仮眠はしていたけど、《《ある意味》》興奮の後の安堵感にあっという間に眠りに落ちていった。
私はカイトを背中から抱きしめ眠りにつく。しかし、考えてしまってなかなか寝付けない。
全く、親に心配かけてくれたな。カイトが部屋に居ないのは焦ったぞ。一瞬トイレか?って考え直して、トイレに確認に行こうとしたら、目の前にカイトが現れた。
こいつ、瞬間移動でどっかに行ってきたな?無事に姿を確認できたから安堵はした。けど、これはちゃんと叱らなければならない由々しき事態だ。最初が肝心だ。
今まで私は、カイトを褒めはしても、本気で叱ったことがなかった。考えたらカイトは子どもらしい悪さをしたり、親を困らせたり、通らないワガママを言ったことがない。
それは前世の記憶をもっているからだと言ってたな。カイトがいた前世とは私たちが想像もできない文明が発達しているのだろう。カイトが何気なくしてしまう事、教えてくれること、これらが全てこの世界を変える。
私は、親としてカイトにまつわる脅威からカイトを守ることが出来るだろうか?
少し机が必要な仕事はアマナに手伝ってもらって、セバスやルークともっと体を鍛えねばならないな。強くならなければ。
カイトが作り出すもの、カイトが生み出すもの、食事もそうだ、その全てが私たちの生活を快適に便利してくれている。カイトの努力ために、親として領主として、精一杯守り、支えていかねばならないな。
子はかすがい、親は子育てをして親になっていくとはよく言ったもんだな。
奇想天外なことばかりだが、楽しいんだ。
私はカイトの親で良かった。カイトは私たち家族を幸せにしてくれた、大切な可愛い息子だ。何があっても守るべき存在。
今回のペットボトルの使い方を知るためだとはいえ、夜中に抜け出されたのは心臓が止まるほど焦ったが無事でよかった。
しかし、《《ヒロヒト》》さんか。私たちはずっと《《ユージン》》さんとだと思っていたな。私たちにとっては偉大なご先祖さまだが、そのヒロヒト様にもカイトは会えたりするんだから驚きだ。
予想外のことがカイトの周りには多すぎるな。楽しいこと、嬉しいことの方が多いのは素晴らしい。悲しい事は起こらないように願うばかりだ。私は強くならなければ。
そんな考えをしているうちに、抱きしめている小さな体が愛おしくてたまらなかった。そして、いつしかカイトの温もりに誘われて私も深い眠りに落ちていった。




