266話 夜中の外出を叱られる
怒ってるパパが凄く怖いぃー!!
パパは、ソファーに座り、足を組んで、腕を組んで、目の前にいるボクに細い視線を寄こしている。
今にも噛みつかれそうなくらいの痛い視線。
「さあ、カイト。説明してもらおうか」
地を這うようなパパの低い声に、パパの怒りにチビりそう。
「はい」
ボクは縮こまる。ひぇーマジで怖ーい。
「今までどこに行っていた?」
「えっと、えっと。」
ダメだ、怖くて泣いちゃうよ。グズグズ。
「泣くなっ。ちゃんと説明しなさい」
うっ、うっ、うわぁーん。
「ごめんなざいっ、ごめんなざいっ。心配がけでごめんなざいっ」
泣いてちゃんと発音できない。
「泣いていたら分からん。どこに行ってたんだ?」
「お城の転移の間に行ってたの」
「なぜだ?」
「転移の間に、ヒック、祐仁さんに会いに行ってたのー、ごめんなさいっ、ヒック」
泣きながら喋るから変な喋り方になっちゃう。
「転移の間?城に行っていたのか?なんでまた?祐仁さんに会いに行っただと?肖像画ならこんな夜中に見に行く必要がどこにあるんだ?」
「明後日、怪我をした兵士さんが来るでしょ?その人の怪我を治すんでしょ?僕、ペットボトルの使い方分からないし、ウグッ、水はどれくらい入れるの?とか、入れたらすぐ聖水に変化するの?とか、変化するにはどれくらいの時間がかかるのかとか。うっ、うっ、ぐすっ、あと傷や怪我にはそのまま水を掛けるのかな?とか、ペットボトルをボクが使えるのかさえ分からなかったから、祐仁さんに《《聞きに行った》》の」
「は?いやいや、待て!聞きに行ったって誰に?」
「ヒロヒトさんに」
「ヒロヒトさん?それば誰のことだ?」
そっか、ここのみんなはユージンさんと思ってるんだ。
「祐仁さんはユージンさんの事なの。ユージンさんの本当の名前はヒロヒトさんなの」
「は?どういうことだ?まるでユージンさんと《《直接話した》》みたいな事になってるぞ」
「直接、話したよ。」
「待て、待て、待て。落ち着け、ちゃんと説明しなさい」
ボクは転移の間での祐仁さんの肖像画から祐仁さんのいる場所に行った事を話した。
ボクが祐仁さんのところに行っている間、パパ達は時間停止だったことも。
パパは信じられないような顔をしている。
そしてそこでの祐仁さんとの話もパパに話した。
そして今回《《兵士の怪我をちゃんと治してあげたいから、ペットボトルの仕様や取り扱い》》ついて聞きたかったから、転移の間に行って、色々聞いてきた事もパパに話した。
けど、どうして夜中に一人で行くことにしたのか?どうやって祐仁さんのところに行くのか?それは祐仁さんの「誰かれ来られても困る」と言っていた気持ちを尊重して「祐仁さんとボクの秘密だから教えられない」として納得してもらった。
「はー、にわか信じられん。」
フーっと息を吐くパパ、さっきの怒った顔から疲れた顔になってる。
「話は分かった。カイトはその兵士を治してあげたいって気持ちから、今回はこんなことをしたんだな?」
「うん」
「人を助けたい、その気持ちは大事だ。優しい子に育ってくれてパパは嬉しく思う。だがな、お前はまだ幼い。急に夜中にカイトが居なくなったら、びっくりするよな?焦るだろ?なにか事件に巻き込まれたのか、何があったのか心配するよな。」
「はい、ごめんなさい」
「パパは寝る前にカイトの寝顔を見るのが日課でな。安心して寝ている姿を確認して、パパも安心して寝れるんだ。今日1日無事に過ごせました、明日も元気に楽しく過ごせますようにって祈ってるんだ」
そうなの?知らなかった。
「もちろん、アリの顔も見に行くぞ」
「うん」
「さっき、パパはカイトが居ないからって屋敷の者たちを総動員して探し回るところだったんだぞ、そしたらカイトが瞬間移動出戻ってきた」
「カイトが居なくなったと思った時のパパの気持ちがお前にはわかるか?」




