263話 夜中に転移の間へ
ペットボトルを預かり、城をあとにする。
明日はいよいよイカルダの女神様に会う日だ。
5年振り?元気にしてるのかな?
ちょっと楽しみ。
明後日、怪我人の兵士に、このペットボトルに入れてある水を掛けて、実際に傷が治るのかを試すって言っていたけど、その前にやっぱり疑問を解消しておかないと。
このペットボトルはどんな感じに使う?
水はどれくらい入れるの?
入れたらすぐ聖水に変化するの?
変化するとしたら、どれくらいの時間がかかるんだろう。もしかしたら使えるようになるための待ち時間とかあるのかな?
傷や怪我にはそのまま水を掛けるのかな?
やっぱり確かめよう。ちゃんとした使い方を理解した上で、ボクが出来るなら、その兵士を治してあげたい。
さっきパパが話してくれた。
転移の間の調査は終わったって。
そういえばあの肖像画の事も伝えた方がいいのかな?
でも、それは祐仁さんに確認した方がいいよね?
ボクが祐仁さんに会ってる時はちょっと時間停止の魔法が掛かっていたよね。
だから、ボクが祐仁さんのところに行くまで誰にも見つからないようにすれば良くない?
あ、でも、転移の間。お城にあるし。
誰にも見つからずに転移の間まで行く方法。
そうだ!もしかしたらボクが何回か瞬間移動したら、誰にも見つからずに転移の間まで行けるんじゃない?
王都に来て、ボクはほとんど魔法を使ってないから魔力は十分に足りるはず。
なんか悪いことするみたいで、ドキドキ、ワクワクしちゃうな。
行く?行った方がいいよね?
うん、行こう。きっと夜がいいよね?
みんなにバレずに行く方がいい。
あの転移の間が、祐仁さんに繋がる道なんて誰も知らないなら、ひとまずボクだけでこっそり行こう。
ボクは夜中に決行することに決めて、夕食も食べたあと、明日の為に早く寝るってパパや屋敷のみんなに伝えてボクは部屋で仮眠をとる。
そして迎えた夜。
多分、午前0時過ぎたあたり。
ボクは普段の洋服にこっそり着替えた。
いつもはメイドさん達が着替えさせてくれるから、自分で着替えるのって大変。
この子どもの手は、上手くボタンをはめられない。ひとつ、ひとつ、ボタンを掛けるのに5分以上。それってまずいね。
屋敷に戻ったら衣服の脱着も自分でできるように練習しなきゃ。
また、いつ、こんな風に自分で服を着なくちゃいけない日が来るか分からない。
って、それこそ貴族寄りの考えだね。
よし、着替えおわった。
ペットボトル持ったね、よし。
では、出発!
まずは部屋を出たよ。
そろーり、そろーり、抜き足差し足忍び足。ボク達の屋敷は、万が一誰かに見つかったとしてもトイレにとか何とか言えばいいよね?
廊下には等間隔で間接照明が灯りを抑えられている。真っ暗じゃないから、ボクは怖くない。うん、怖くないぞ。
すり足、抜き差し、忍び足。
うん、なんかボク悪い奴みたい。ニヒッ。
怖いけど、なんか楽しい。
よし、玄関に来たー。
さあ、さあ、次はいよいよ、瞬間異動。
「王宮の玄関先に!」 シュン!
「ふぁー、眠い」
「お前大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ」
おっと、警備の兵士たちのうーしろー。
やば、やば。振り向いちゃう。
念じるよ(転移の間へ)シュン!
「ん?今、風吹いたか?」
「ああ、だな」
着いたー、出来たー、上手くできたぞ
さっき危なかったー!ふぅ。
さて、うん、ここ転移の間で間違いないね。
だって、祐仁さんの肖像画があるもん。
少し光ってるよ。
ぐふっ。よく見たらさー。
祐仁さんの頭の光、強くない?
ピカって光ってない?
たまたまかな?
それとも、ちょっと薄くなってるのかな?
それとも、ただの後光がさしているのかな?
これこそ、キノセイかな?ぐふっ
さ、こうしちゃいられないね。
早速呼ぶよー。
「ヒロヒト」
しーん。…………………………ん?
あれ?間違った?
声が小さかった?
「ヒロヒト」
ピカッ!眩しいっ
キラキラキラキラ
祐仁さんの肖像画がさっきより発光してる。
肖像画の祐仁さんの手にボクの手を重ねるようにとジェスチャーで言ってくる。この前と一緒だ!
ボクは誘導されるまま、祐仁さんの手にボクの手を重ねた。
そうすると、一瞬で肖像画の中にいた。
ここに来るのは2度目だ。




