262話 ペットボトルを受け取る
奥の方にある戸棚のところに収められているガラスケースの中にそのペットボトルがあった。
あれだよねー。間違いない。
近づいてみてみるとラベルの付いていない、透明の傷1つないペットボトルだよ。
今まで傷を負った人を救ってきて、何十回、何百回も使われてきたはずなのに、そして300年という時間を通り過ぎてきたのに、そのペットボトルは︎未使用な状態のように傷や汚れ、へこみもなくキレイなまま。
ペットボトルの形が炭酸水用だ。樹皮が厚めで固く作られてるし、底が花びらのような形をしているしね。それはたしか炭酸には二酸化炭素が微量に含まれてて開封前は中側からの圧力に耐えられるように作られているんだよね。
あれ!?もしかして水を入れると聖水になるって言っていたよな。もしかして聖水って炭酸水?
炭酸水なら嬉しいな。シーレモンソーダが飲めるじゃない?んふふ、楽しくなって来たー!
「カイト、なんか嬉しそうじゃないか?」
もちろんだよ!炭酸よ、あのシュワシュワの刺激があるかもしれない。
気になるー。使ってみたい。
このケースを開けてペットボトルを取りだしたいけどどうやって取り出すのかな?
「カイト、底側の裏にある赤いボタンを押して見てごらん」
ん?陛下のおじいちゃんが言う様に裏側をのぞき込むと小さな赤いボタンがある、押すとフーっとガラスケースが消えた!
すごい、思わず辺りを見渡すけどさっきのガラスケースが見当たらない。
さっきから超高度文明を見せられている感じ。前世は科学技術だけど、ここまでの技術はあったかな?
ボクが生きていた時代にはまだそこまでの科学文明は発展してなかったと思う。
それが、さっきの肖像画からここまで使われているのは全部魔法だよね。凄いねー、これが現代にあったなら、なんとか化学賞もらえたんじゃない?
なんだか感心したし、感動しちゃった。
「カイト、これがペットボトルなのか?」
そっかパパ達は初めて見るよね。
おじいちゃん達は、鍵を持っているから見たことはあるんだろうな。
ボクの後ろが覗き込んでいるパパが聞く。
「うん、これがペットボトル」
「ああ、やはり、カイトは稀人で間違いないな。《《見ただけ》》でこれがペットボトルだとわかるんだからな」
「はい、そうですね。これがペットボトルですよ。カイト様はペットボトルの使い方は分かりますか?」
「《《ちゃんと使える人》》が使うと、中の水は【聖水】になるんでしょ?聖水を振りかけて傷や怪我をした人を治せるってマールから聞いたの。」
「はい、よくご存知で。試しにお使い頂けますか?」
ん?いいけど?誰か怪我してる人居るの?
「ああ、実は兵士が1人怪我をしましてね。ぜひ治せるか試していただきたい。もし治せなければ、彼は片足を失うことになるでしょう」
「宰相待ってくれ。カイトがこのペットボトルを使ったとして、その怪我や傷を治せる保証がないんだぞ、もし治せなかったらカイトが自己嫌悪やトラウマになったりしないのか?」
「ダウニー心配するな、そこは大丈夫だ。兵士には目隠しと耳栓をしておこう。カイトの姿は見せん。もし治せなかったならそれは彼の運命だ。受け入れるだろう」
「わかった。やってみるよ、その兵士は何処にいるの?」
「実は国境の兵士なんだが、落馬してな。今、こちらに向かっているから明後日には王都に着く予定だ。」
「パパ、まずは試してみなきゃ。もし救える人がいたらボク救ってあげたい」
「カイト、優しいな。本当に良いのか?」
「うん」
「では、このペットボトルをカイトに預けるぞ。」
「はい、大切にします。もし使えないならお返しします」
「ああ」
ボクは大切にすると誓ってペットボトルを預かることにした。
このペットボトルはどんな感じに使うんだろう?水はどれくらい入れるの?
入れたらすぐ聖水に変化するの?
変化するにはどれくらいの時間がかかるんだろう。もしかしたら使えるようになるための待ち時間とかあるのかな?
傷や怪我にはそのまま水を掛けるのかな?
そもそもボクが、使えるのかさえ分からない。
前世では、傷はまずはよく洗ってらバイ菌やゴミを流し落としてから、消毒をしたよね。傷を洗浄しないままでも大丈夫なのかな?うーん、分からない。
トリセツ、必要ー。
祐仁さん、トリセツ欲しかったです。
あとで聞いてみようか?
転移の間、まだ封鎖中かな?




