255話 稀人にしか読めない箱
「まれ、びと?」
心臓がバクバクして、痛いよ
「ああ、この世界とは別の世界からなにかの理由でやってきた、もしくは連れてこられた、そんな人のことを稀人と言うんだ」
「うん、マールがこの前セバスやマールのお話を話してくれたの。その時に祐仁さんの話を聞いたよ、祐仁さんが稀人だったんでしょ?」
「そうだ。そして、私もカイトも祐仁さんの子孫だ。」
「うん」
うー、パパ、確信してるっぽい。
どうしよー。
「カイト、この箱を開けてくれるか?」
ん?オルゴールぽいな。
パパから受け取って蓋を開ける。
「ツッ!」
なんか書いてある。
《《開けたな?これは爆発するぞ》》
え?うそ?
「パパ、危ないっ」
慌てて箱を投げ捨てて、パパの手を引いて逃げる。
「爆発しちゃう、隠れてっ」
机の下に隠れたけれど、あれ?なにもおきない、ん?
「……………………………………………?」
「カイト、大丈夫だよ、これは爆発しない。待ってなさい」
「パパ、もしかしたら時間差で、爆発っ」
「大丈夫だ」
パパに言葉を遮られる、こんなこと初めて。だから、戸惑う。
ボクが投げた方向からさっきの箱を持ってきてパパはボクに箱を差し出す。
「カイト、中に書いてある字が読めるんだな」
「うん、字は習ったよ?」
「私には読めない」
「ん?爆発するって」え?まさか?
日本語?書いてあるの日本語だよ。
どうしよう、どうしよう、とうとうばれちゃった、どう説明したらいい?
怖い、怖い、ボクは自分が否定されるのが怖いよ、やだやだ、パパ助けて?
「カイト、パパの目を見てごらん」
僕の目の前に膝まづいて、パパの目線はボクの目の前。
ボクは怖くて、怖くて、涙が溢れちゃう。
怖いよ、やだよ。ボクはパパとママの子だよ、お願いだから否定しないで。
お願いだからー。
わんわん泣くボク。今は泣くしか出来ない。
「おい、お兄さんよ、カイトをなに泣かしてんだ?あっ?ボクが懲らしめてやる」
「キノセイは黙ってろ、今は私とカイトの大事な話をしてるんだ、邪魔するなっ」
「お、おう、すげー剣幕だな。そうか大事な話、話をしているんだな。」
「そうだ。だから少し大人しくしててくれ、頼む。いや、あ、お願いします」
「カイト、泣くな。なんで、泣くんだ?カイトが稀人でも、そうでなくてもパパもママもカイトが大切だぞ。そして大切な大事な愛おしい息子には変わらないんだ。だから、何をそんなに泣くことがある?」
ボクの涙が止まらない。
なんて返事をしたらいいのか分からない。
「騙して悪かったな。ごめんな、カイト。あの箱は王家に残された祐仁さんの遺品だ。」
泣くだけのボクを抱きしめてパパは話し続ける。
「祐仁さんは、稀人だったのは知っているんだな」
ボクはうんって首を縦に振るしかできない。涙はまだ流れて止まらない。
だって不安は解消されてないから。
「祐仁さんは、偉大な功績を残してくれた。祐仁さんのしてきた事はたくさんの人達にとって多くの幸せをくれたんだ。祐仁さんは、とても気さくで楽しい人だったらしい。王位に就いても、どんなに人々と打ち明けても、どこか寂しさを感じていたそうだ。帰れないとわかっていても、元いた世界に多少は未練があったかもしれん。密かに同じような稀人を探していたよ。」
「祐仁さんはこの箱を託して「稀人を探して何がしたかったかは分からない。そんな祐仁さんの助けになりたいと申し出があってな、だけど、闇雲に探すことは出来ない。だから、なにか特別な力を持っていたり、偉業を成した人にこの箱を開けるようして貰ったんだ。」そうして探したが誰も読めてないから逃げたりしないんだよ」
「これには、稀人にしか読めない文字が書いてある。もしここに書いている文字が読めるなら、慌てて逃げるように言うはずだ。もしそんな人がいたら私のところに招いてくれ。」
「カイト、お前はあの文字が読めるんだよな?だから《《慌てて逃げた》》そうだろ?」
「なあ、頼むよ、正直に答えてくれ。大事なことなんだ。カイトを守るためだ。話してくれないか?」
もうダメだ。パパはボクが稀人だって確信してる。
「なーんだ、カイト。話しちゃえよ」
って、キノセイ、うるさいよ。




