238話 マーシュ家王都での謎の気配
さて、王宮を出て、すぐにマーシュ家の屋敷の門をくぐったけれど、玄関が見えない。周りの様子はマーシュ領の我が家と似たような雰囲気の作りだね。
ただシェルロードはまだない。
この国は白を基調とした作りが多いね。
玄関に着くと、パパが先に降りた。
次にボク。ここにもズラッと両側に多分執事にメイドさん達が並んで礼を尽くしてる。
「ただ今帰った。」
「「「「「「「「お帰りなさいませ、旦那様。ようこそお越しくださいました、カイトお坊ちゃま」」」」」」」」
うぉー、こんな人数で声が揃ってるー。
さすが、辺境伯家に仕える人達だね。
「ああ、出迎えご苦労。皆、私の息子、カイトだ。2日後のイカルダの女神様からの祝福を頂く事になっておる。ここには6日滞在するからよろしく頼む」
「「「「「「「「「「かしこまりました」」」」」」」」」」
「ダウニー様、お久しぶりでございます。お変わりありませんか?」
「ああ」
「カイト坊っちゃま、お初にお目にかかります。マーシュ家王都の筆頭執事のセバスチャンでございます。よろしくお願いします」
ほほぅ、ほうほう。
向こうはセバスで、ここはセバスチャンなんだね~。
「はい、初めまして。よろしくね」
みんなキラキラした目で見てるから、思わず手を振るボク。
「やーん、可愛すぎる」
「ダウニー様にそっくりよ、目は奥様と一緒だわ」
「ふっ、推しが出来たわ」
なんだか、みんなホンワカした優しい眼差しでボクを見てる。歓迎してくれたのかな?
「では、カイトの部屋に案内くれるか?」
「はい、ではご案内します。」
セバスチャンに案内され、パパとボクも歩く。パパは王都に来てからやたらとボクと手を繋ぐ。なんか心配してくれてるのかな?
「お部屋をご案内した後は、昼食をお取りになる、でよろしいでしたね?」
「ああ、そうだ」
あとは少しだけお仕事の話をしていた。
「あの表にまとめるのは素晴らしいですね。定規も思わぬ所で役に立っておりますよ」
んんん、良かった。生活が良くなることはいいもんね。お仕事の効率化、ここでも役に立ってて良かったー。
角をいくつも曲がり、ひとつのドアの前に着いた。中を入ると、子供らしい、水色を基調とした男の子の部屋だった。
「わぁー」
「いかがでございますか?屋敷のメイド達が、カイトお坊ちゃまがいらっしゃるのをとても楽しみにしてこの部屋を準備していたんですよ。お気に召されましたか?」
「うん、いいね、すごくいい」
「では、お食事が整いましたら、お呼び致します。しばらくお待ちください。」
そう告げてセバスチャンは部屋を出ていった。
「カイト、少し休んでおきなさい。パパは少し調べ物があるから……。あ、やっぱり一緒に行こう。我が家の図書室だ。」
ん?ボク部屋で待っていられるよ?
「ボク、お部屋で待っていられるよ」
「ああ、いや、一緒に来てくれ」
パパちょっとどうしたのかな?
ボクを離そうとしない。
「うん、分かった。本はいっぱいある?」
「ああ、沢山あるぞ」
ボクはパパに連れられて図書室に来た、もちろんパパと手を繋いでだ。
ん?やっぱりちょっと過保護だ。
どうしたのかな?
図書室のドアを開けると、本の匂いが溢れていた。本は高値なのにこんなにあるの?
凄いねー。
カチャリ
ん?鍵掛けた?
「パパ、カギ掛けちゃうの?」
「ああ、用心のためだ」
「そっか。じゃあ、ボク、本を見ていい?」
「ああ、いいぞ。ただ図書室からは出たらダメだぞ。誰かがノックしても開けたらダメだ、必ずパパを呼ぶんだ、いいな?」
「はーい」
やっぱり何かあるんだ。ボクには言えないなにか理由があるんだ。なんだろー。
ま、この部屋から出ない、誰か来ても開けない、だったね、それさえ守れば大丈夫って事よね。
本当に本がいっぱい。壁にもびっしり。
そして何列もの本棚が並んでいる。
ただこの本たちは動物の皮だよね。
古い匂いと、動物の匂いが微かにする。
ボクは見て回った。するとどうだろう?
パパは向こう側にいるのは間違いない。
けど、ボクの後ろで誰かの気配がする。
嫌だ、コワイっ。
ボクは怖くてパパのところに早歩き。
後ろからの気配はやっぱりあるよ。
「パパッ」
「ん?どうした?」
後ろに誰かが居る…。
それは“生き物”の気配だ。




