237 サットン王宮騎士団長はルーク団長には負けたくない
ただ、足りないもの。石だよ。メトロノーム的なやつ。
あとは投げてかわすやつね。
「今、このアスレチックで訓練を始めているのか?」
「はい、なかなか大変なようですよ」
「甘いな」
「何か足りないものがありますか?」
「ああ、大ありだ。君、そして、そこの2人、あとは君だな。よし、あのアスレチックを端から端まで競走してくれ。途中絶対に気を抜くなよ。よし始めっ」
指名された兵士さんは頑張ってスタートした。まだ不慣れな部分もあるみたい。
みんなが、アスレチックに目がいってる時に、シュン、シュン、シュン、風を切る音が今アスレチックしている人のところに飛んでいく。
あ、パパ、石を投げてる。見て、みんな、びっくりしてるじゃんか。
「私は今、石を投げたぞ。当たらないように投げたから心配しなくていい。けどな、マーシュ領では数人で石を投げ合い、それを避けながらアスレチックを競っているぞ。君たちも同じようにするんだ。瞬発力、判断力、集中力、脚力、動体視力、かなり上がるぞ」
「「「「「「「「「おーーーっ」」」」」」」」」
「宰相、これがマーシュ領の訓練だ。あの祭りのアスレチックでは素人も居たからな、石は投げてなかったんだよ、足りないのはこれだな。あとは…」
パパはメトロノームが交差するような石のブランコもいくつも設置するようにとアドバイスをしていた。
「ありがとうございます、ダウニー様。アスレチックは、素晴らしいですね。」
「サットン、久しぶりだな。アスレチックを使ってよく訓練するんだぞ」
にこやかな顔をしたイカつい人がパパと話している、だれだろ?
「こちらがダウニー様のご子息ですね。はじめまして、私はサットンと申します。マーシュ領のルークと同じく、王宮騎士団を束ねる団長をしております」
おー、団長!かっこいいね、なんかめちゃ礼儀正しくてスマートな印象。
「ボクは、マーシュ辺境伯が嫡男カイトです」
挨拶が終わると早速サットンがパパに話しかける。
「あと、ダウニー様、ルークから教えてもらったのですが、これで正解なんでしょうか?」
ん?正解って何が?
「いや、今、数人で試しているのですが、まずは見て貰えますか?」
「あい、分かった、見せてみろ」
サットン団長は一礼をして、向こう側にいる10人くらいの団員のところに行ってみんなで1列にロープを持ち出した。
待って、あれ、短くない?
あ、始まっちゃったよ。
ブホォ!あはははっ、ダメだ、可笑しい。
あちこちからの大爆笑。
だって、もう笑うしかないでしょ。
がに股カニ歩きの10人が1列にロープ飛びしているんだもん。もう、笑っちゃうでしょー。
笑われたサットン団長は顔を赤くしながらパパの元に戻ってきた。あのままのロープ飛びをしたまま、後ろからみんなついてくる。
だめー、お腹よじれるー。息辛いよー。
笑いすぎぃー。
パパなんて笑いすぎてヒーヒー言ってるよ。宰相のおじいちゃんは泣き笑いしてるし。
「ダウニー様もみんなも酷いですよ。私たちは一生懸命飛んでるんですから。どうです?これで当たってますか?」
「あー、笑った、すまないな。ロープが短いんだよ。身長の2倍くらいの長さにしたら飛びやすくなるぞ。ルークは短いロープ飛びをしたまま足腰を鍛えているんだとか言っていたぞ」
「そうですか。では私たちもルークに負けてはおれません。このまま頑張ります」
「おぅ、そうか。なら頑張りなさい」
一礼してさっきの場所に戻って行ったよ。ダメだ、後ろ姿は間抜けすぎるー。
ボク達は、もう我慢なんて一切せずにしばらく笑い続けた。あー、楽しかった。
「さあ、ひとまずはこのアスレチックを頑張ってくれ。あと明日はケンケンパーと綱引きを教えてあげよう」
「では、失礼する」
「では、失礼します」
パパに連れられ王宮騎士団訓練場を後にした。次はいよいよ王都にあるウチの屋敷に行くよー。馬車で行くんだって。さっきから馬車に乗ってるけど、まだお城を出ないの?どんだけ広いの?
あ、やっとお城を出たーって思ったらすぐ着いたよね。うん、爵位からすると近いよね。




