234話 祖父母の孫愛
「ダウニー、残念だったな。お前の母がこっちを睨んでおる」
「はー、母上はなんで怒ってるんだ?」
「そりゃお前、わしが勝手にマーシュ領にお前たちを迎えに行ったからだろ?」
「それのどこに怒る理由があるのですか?」
うん、ボクもそう思う。
「ほら、こっちに向かって来てるから本人になぜ怒っているのか直接聞くといい」
おばあちゃん来ちゃったよ。
ボクにはニコッて笑って抱きしめてくれた。
何故か、パパは無視されている。
「母上、ただ今戻りました」
「…………」
「母上?」
「ひどいじゃない、もっと早く来て欲しかったわ。お茶会で孫自慢したかったのよ。そして私も《《1秒でも》》早くカイトちゃんに会いたかったのよ。」
「母上、仕方なかったんです。マーシュ領は今色々忙しすぎてギリギリ調整してやっとこちらに来たんですよ。そう怒らないで下さい」
「………………」
あれ?やっぱりパパを見ないな。
「おばあ様、お久しぶりです。あのー、おばあ様にご挨拶です。おばあ様もお元気そうでよかったです。ボクもおばあ様に会いたかったです。」
《《おばあ様に会いたかった》》って強調しちゃえ。
これでどう?孫パワーどう?
ガッツポーズしながら目をキラキラさせておばあ様に訴える。
「はうぅ、孫が可愛すぎるっ、やっぱり一緒に住むべきだわ。カイトちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らしましょっ」
あれ?効果てきめん、やりすぎた?
「わしも賛成だなっ」
陛下のおじいちゃんまでも。
「うちの息子はどこにもやらんぞ」
パパ、うちの娘は誰にもやらんぞ、みたくなってるからねっ。
「カイトちゃん、あのね、目をうるうるしないでちょうだい。あなた達親子を引き離したい訳じゃないの、泣かないでね」
あ、可愛さ狙ったのに、泣き出しそうって見られちゃった?少し雰囲気変えよー!
「あのね、ボクもうすぐ5歳です。イカルダの女神様からどんな魔法が貰えるか楽しみです。そのために王都に来ました。しばらくお世話になります。よろしくお願いします」
「はぅ、孫っていいものだわね。たまらないわ。夫人たちの孫自慢もこれで理解できたわ。私も孫を連れて皆さんに孫自慢したいっ」
チラチラッ
パパは無視。陛下のおじいちゃんは苦笑い。ボクに一身に期待を寄せてくる。
これは1度でも参加しないと、会う度にこんなことされたらたまらないなー。
「1度だけ参加しますっ」
「本当に?嬉しいわ。ありがとう、カイトちゃん。早速皆さんを招待しなくちゃ。それで《《ここには》》いつまで居られるのかしら?1ヶ月?」
「いや、1週間です。」
「たったの1週間?2週間じゃなくて?」
「いや、1週間です。母上、これ以上駄々こねるなら明明後日イカルダの女神様の祝福受けた翌日の5日後に帰る日を変更しますよ?」
「おいおいダウニー、私の最愛の妻をあまり虐めないでくれ」
「母上がいらないことを言うからです」
「やっと孫に会えたんだ。少しは母の気持ちも考えてやってくれないか?」
パパー、ここで黙らない。
もー、しょうがないなー。
「《《1週間》》お世話になります。よろしくお願いします。」
「はい、承知しました。楽しんでいってね」
「はい、おばあ様ありがとうございます。それと!お願いがあります」
「あら?何かしら?」
「よろしければ、おじい様とおばあ様と一緒にお庭を散歩してみたいです、ダメですかっ?」
「「はぅぅぅ、可愛すぎる、うちの孫」」
「ああ、いいとも、今すぐ行こう」
「そうね、そうね、今から行きましょう。どちらの庭がいいかしらねっ」
どちら?庭がいくつもあるの?
「西の庭、東の庭、他にもあるけど、私がおすすめするのはニライカナイ庭かしら?」
ニライカナイ?沖縄にあったよな?確か昔の人たちがいう【理想郷】って意味だったはず。そこ見たい。
「ニライカナイ庭に行ってみたいです」
「ああ、分かった、そこに行こう」
「おい、馬車を用意せよ。ニライカナイ庭に行くよ」
え?散歩だよ?お庭だよ?馬車でわざわざいくの?散歩じゃなくない?
散歩するために馬車に乗って行くなんて、常識外れじゃないの?って思っていたボクが馬鹿だった。お城って広すぎるっ。




