231話 祐仁さんは、ひろひとさんが本名でした
1枚は王冠を頭に、赤のマントを肩に掛けて、厳格な顔をして民衆の前に立つ男性。若い男の人だ、パパくらいな年齢かな?
そしてもう1枚。これはふざけてるよね。
ちょっと舌を出して、手を祈るように組みその両人差し指を立て、腕を前に突き出している。浣腸ポーズぽくも見えるし、拳銃突き出して、いたずらに笑ってるように見える絵だ。
これどう見ても、ふざけてるよね?
大丈夫なの?
「ああ、これはどちらも祐仁さんだよ。お前のご先祖さまだ。王冠にマントを掛けて民衆の前に立たれているのが即位の時だ」
めちゃ、男前。顔もかっこいい。
日本人?沖縄っぽいな。
浅黒で、目がバッチリ二重の切れ長の大きな目、目力半端ない。
鼻は少し団子鼻に近いけど、高い。
形のいい厚い唇。髪は白髪混じりの黒。
はっきりいって濃い顔のイケオジだよね。
お風呂の映画に出てくる人達みたい。
しかも片目ウインクしてるよね?
色気ダダ漏れなんですけどー。
「そしてこの1枚は………」
1枚は?どうしたの?言いにくい?
「イカルダの女神様への敬意を表すポーズなんだそうだ。そこにこの顔、イカルダの女神様へ、私のお茶目な顔を見て欲しいってこんな顔をしていたようだな。なんでも、それくらいの《《ノリ》》が大事なんだっていっていたらしい、当時の文献に書いてあったな。」
いやー、女神様に対して、こんなポーズしていいの?ダメっじゃないの?
誰が《《ノリ》》がいいって思うのかな?
ん?肖像画の下のプレートになんか書いてある?なんて書いてある?
「キレイな《《装飾》》だろう?これは誰も真似出来ない装飾なんだ」
いや、装飾じゃないよ、日本語だよね。
《《私の名は祐仁。皆私の事をユージンと呼ぶが、本当の名前はユージンではない。ヒロヒトと言うんだ。ユージンの方がかっこいいからな》》
は?なんなん?何の告白ですか?
ん?下に小さい文字?
《《追伸 君は日本人だな。私の本当の名前、ヒロヒトって呼んでくれ》》
「え?…………ヒロヒト」
ピカッ!え?なになに?
「うぉー、眩しい」
「なんだ、この光は?」
キラキラキラキラ
祐仁さんの肖像画が発光してる。
なに?肖像画が動いてるんだけど、こわい!けど、なんか言ってる?
ボクは聞きたくて肖像画に導かれるように近づいていく。
「カイト、待て、待ちなさい」
「なんだ!?こんなこと初めてだぞ」
「(多分)大丈夫だよ、ちょっと待ってて」
肖像画の裕仁さんは僕に向かってパントマイムをするように、無いはずの壁?を触るように手を置いて、ボクの手を裕仁さんの手に重ねるようにとジェスチャーで言ってくる。
ボクは誘導されるまま、祐仁さんの手にボクの手を重ねた。
そうすると、一瞬で肖像画の中にいた。
外は、時が止まっているようでちっとも動かない。
今いる肖像画の中には、肖像画のままの悠仁さんがいてにこやかな表情で立っていた。
背は日本人にしては高い、多分180cmくらいありそう。優しい顔をして僕を見てる。周りは肖像画の背景の自然豊かな場所だった。けど、景色は止まったまま。
「ようこそ。小さなボク。私はヒロヒト。またの名前をユージン。そこの小さなボクのお名前はなんて言うの?」
ヒロヒトさんはボクに《《日本語》》で話してきた。ボクは日本語で答える。
「ボクはカイト。」
ボクが日本語が理解出来て、日本語で返事をした事に少し驚いているようだ。
「カイト君か。君、見た目はあの男の人に似ているけど、あの人はこの国の人だよね?見た目がそうだ。あの人と君は親子なのかな?」
「はい、ボクの父と、祖父です」
「ああ、君の父と祖父なんだね。そういえばあの二人も似てるかもね。あと、急にこちらに来てもらって悪かった。少し話をしたらまた向こうに戻れるから心配しないでいいからね。」
「はい」 良かった。
ボクがあからさまにホッとしたところ。
「君は見た目はここの世界の人に見えるけど、なぜ日本語がわかるのかな?」




