230話 陛下の跡継ぎは
「ボクはマーシュ領の辺境伯嫡男です。だからマーシュ領はボクが継がなきゃいけないでしょ?」
「いや、アリアーナが継いでも構わんよ。それか、もしかしたら将来アマナがお前の兄弟を産むかもしれないからな。そうしたらお前がマーシュ領を継がなくても、他の兄弟が継げばいいだけだよ。」
え?そうなの?
「家を継ぐのは嫡子嫡男じゃないの?」
「ああ、あれは昔の制度だな。今は親が継がす子を選べるようにしてある。王太子がいるがな、王太子が次の王になるかと言うのは今はあまり意味が無いんだよ。」
え?なぜに?それって王位継承権保有者の戦いが起きるかもしれないじゃん?なんでそんな制度に変更したのさ。ややこしくなるじゃんか。
「なぜ、制度を廃止したの?」
「ああ、過去にな、嫡男だけが爵位を継ぐとしてあった、それがな、嫡男が堕落した家、嫡男に恵まれなくて養子も取れなかった家とか没落していく貴族が多かったんだよ。貴族は《《血にこだわる》》からな。」
「その制度を破ったのが祐仁さんだな。優秀な者が継ぐべき、あとは女子にもその資格があるとしてな。【《《兄弟は平等》》】であるべき、と説いてな。」
えーっ、今のボクにとってそれ余計なことだよ。なんてことしてくれたのさ。
そうだ!
「1人の男性が複数の奥様を持つ事でも良かったんじゃないの?」
「ああ、それも、その時代に終わったぞ。一夫多妻はな、誰かが不幸になるだけだったさ。誰が夫に1番愛されてるとか、妻同士の争いと、さらに後継者争いがすごくてな。この国の女性は強くて、愛情が深い。妻が他の妻を毒殺することもあったからな。だから今では王族以外は夫は1人の妻しか持てないんだよ」
え?待って。王族以外って事は、陛下のおじいちゃんは王妃様以外にも奥さんがいるって事?
「おじいちゃんはおばあちゃん以外の人と結婚してるの?」
「いいや、うちは男も二人いるし、男2人の上には娘もいるぞ」
え?おばさんがいるの?話聞かないね。
「えっと、パパのお姉様?」
「ああ、強烈なのがいるぞ!」
強烈って?なになに。
性格が?見た目が?え?え?
気になるよー。
「強烈って?」
「ああ、あいつはルルシアンって言うんだが、」
カチャ
「父上、お待たせ致しました。カイトも渡せたな。では、行きましょう。王都へ。」
「なんだ、ダウ二ーやけに張り切っておるな。」
「それはもう妻にも、娘にも愛されてますからね。2人がなかなか私を離してくれなくてね」
パパ、ドヤ顔しないでさ。
陛下のおじいちゃんも羨ましそうにしないでー。
「さあ、陛下、では、よろしくお願いします。カイト、私のそばに寄りなさい」
あれ?さっきは父上って言ってたけど今は陛下って言ってる、あれかな?転移魔法をして《《頂く》》っていうお願いだから敬称つけたのかな?きっとそうだよねー、って自分で解決したね、ボクって凄い?
「カイト、おじい様が抱っこしよう。初めての転移は酔うからな」
陛下のおじいちゃんに抱っこされるのもあまりないから素直に抱っこされる。
あ、黒い渦が出てきたよ。
おじいちゃんなんか呟いてる。
これが魔法を唱えてるのかな?
パパもなんかブツブツ小さく呟いてるよねー。
黒い渦は怖い感じじゃなく、温かい感じがしたよ。ふわっとボクたちを包み込んだ。時空が歪むって感じかな?周りのくらやみが渦を巻いているところにポツンと立たされている感じ。酔わないようにおじいちゃんに掴まってみたけど酔わなかった。少し周りの闇が揺れていた感じだった。
あれ?ここはどこ?
石の匂い
空気が少しひんやり
音の響きが違う、なんか重厚さ?
「さあ、カイト、着いたぞ。王宮の転移の間だぞ」
えー、転移するだけでこんなに広い部屋なの?何も置いてなくて、だだっ広い場所。
小学校の体育館くらいなサイズあるよねー。
壁は白ベースと金色でツタ模様が描かれているね。あれ?あの正面に飾られている肖像画は誰の絵だろ?
「ここが転移の間?すごく広いね」
「ああ、ただ広い訳じゃないぞ。物資を運んだり、多くの人数を運ぶ時もあるからな、だから、ある程度の広さは確保しておかねばならないんだ」
「あ、そんな理由があったんだね、なるほど」
「ところで、あの肖像画は誰?2枚あるけど、同じ人だ、ん?同じ人だよね?」




