226話 イヌマに依頼。お試し価格で提供
お昼ご飯が終わる頃
トントン!トン!
「セバスですよ。坊ちゃん、旦那様がお呼びです」
「あ、うん。今行く」
パパからの話ってなんだろ?
マールと分かれ、セバスの案内でパパがいる応接間に通される。そこには、イヌマが控えていた。
「カイト、急に呼び出して悪かったな。イヌマがガリガリクゥーとナダンソウソウを持ってきた。あとは祭りの報告だな。売り上げは予想以上の利益を上げたぞ。」
「イヌマ、お前にはビストロを任せているが順調のようだな。もうすぐグランドメゾンがオープンする。大変賑やかになるだろう。大変だろうがよろしく頼む。あと、メニューも広げていくつもりだ。」
「さて、これからだが、イヌマにはひとつ頼みたいことがある。」
「どのような事でしょうか?」
「マーシュ領には珍しくて美味しいものがある、と噂を流して欲しい」
「それはもうかなりの噂になっておりますよ。もうすぐ王都にも届くかと思います。」
「ああ、それは知っている。その美味いものを作るためには肥料が重要だ。その肥料は近々売り出す予定だ。けれど、量に限りがあるから欲しいなら早めに予約が必要と伝えてくれ。」
「すみません。肥料とはどのようなものですか?」
「ああ、イヌマには詳しくは伝えていなかったな。我が領で《《研究して》》作り出した特別な肥料があってな、その肥料を混ぜた土に食物を植えたら、時間短縮できて、美味しい野菜が育つのだよ。トマートゥやポテイトゥを食べただろ?あれはうちで作り出した肥料で出来た物だよ。」
「そうでしたの。素晴らしい美味しさでしたわ。どこで仕入れたのか気になっておりました。」
「父上、教えて下さい。その噂を流す理由を教えて下さい。」
「私もその理由が知りたいですわ」
「理由か?数に限りがあると言えば、誰もが欲しくなるだろう?」
「父上、それなら、1回目は安くで売りましょう。ただし、………2回目の販売は高く販売します」
「ほう…その理由はなんだ?」
「はい、一度は安く値段を設定して《《お試し価格》》で売りましょう」
「お試し価格とはなんだ?」
「まずは肥料を買ってもらうのが目的なので、安いから買ってみよう、そう思える価格にしなければなりません。その時に、この肥料で育てた野菜か、野菜を食べて育った鳥肉を《《試食》》してもらうのです。」
「この肥料で育てた野菜はこんなに美味しいんですよ、そしてその野菜を食べて育った鶏肉はこんなに美味しいんですよと宣伝をするのです。」
「なるほど!まずは《《結果》》を知ってもらい肥料を買ってもらうわけだ。人は半信半疑だろうな。面白い」
「その時に買った肥料で予想以上に実りが増えたら?美味しく実ったら?そうしたら、もっとその肥料が欲しくなります。結果がついてくるわけだから高くても2回目も買うでしょ?」
「そうだな」
またこの子ね?なんなのかしら?この間は試食だって、試してみたらその後の売り上げの勢いは凄まじかったわ。それが今度は試食をさせて、肥料を売る?売るために1回目は安く、《《お試し価格》》にするですって?それは売れるでしょ。結果が出れば2回目からは高く売れるですって?そうよ、その通りよ、私だって買うわ。誰でも買っちゃうわよ。目に見えて結果が出るのだから高くても買うわよ。
なんて販売の仕方をするのよ、こんなこと今まで考えたこと無かったわ。この2人、普通に会話しているけど、画期的な販売戦略なのよ。全くなんてことなくそんな販売戦略を思いつくのかしら、これだから面白いわ。
「マーシュ辺境伯様、私も素晴らしい考えだと思います。私共も今後も益々、精一杯尽力致します」
ママとカマチョで開発。パパとボクで生産、販売、販売戦略、管理ってとこかな?イヌマは、商品を仕入れず、販売手数料を受け取る形で利益を得てるからうちの代理店って感じかな?
「よし、では、イヌマ、まずは肥料を販売していくぞ。そういや、お前のところ、このマーシュ領に支店を作るんだってな?」
「いいえ、支店ではなく、本店です。マーシュ領に根をはりマーシュ領の発展に微力ながらお手伝いをさせて頂きます。」
これからが楽しみだわ。
この子が、きっと、この世界を変えるんだわ。それをしかと、…見せてもらうわ。




