224話 祐仁さん、王位に就いたあと
マールの話の続きはこう。
王家とその派閥貴族たちの内乱は、祐仁さん達にとっては予想出来たことで、祐仁さんが考えた陽動作戦であっという間に制圧できたそう。
理不尽な言いがかりをつけられ、国を混乱に招いた王家とその派閥の貴族らは失脚。王家とその派閥の貴族だけではなく、一族諸共そのまま流刑地に送られたらしい。
その後は他の多くの貴族の薦めによって祐仁さんが王位に就いたようだ。
祐仁さんの治める国は豊かに平和な国になったとの事だった。セバス達とマール達兄妹もそのまま祐仁さんがいる王家に仕えるようになったそう。
祐仁さんの政治はそれから50年ほど。その後は祐仁さんの子孫が代々王家を継いでいるとの事だった。
王家の子供たちが臣下に降り、遡れば今いる貴族の1/5くらいは祐仁さん達の血を継ぐ人になるようだ。
この世代の《《平均》》寿命は60~70歳。
ボクも祐仁さんの子孫だ。
ペットボトルの話からして、祐仁さんは転生者ではなく、転《《移》》者だろう。
今この世界にペットボトルなんてない。
あの後王位についた祐仁さんは、ペットボトルを使い、戦で傷を負った戦士を治して回ったらしい。だから、能力が知れ渡ってしまった。だから、誘拐や、盗難も相次いだのだろう。その防御策として、シャドーが結成され、晩年はその脅威に晒されることなく穏やかに過ごされたらしい。
とてもユーモアがあり冗談が好きで、祐仁さんの周りはいつも笑顔が溢れていたそうだ。
かなりの人格者だったんだね。
歳を重ね、足腰が立たなくなり、床に伏せる事が多くなった祐仁さんは、セバスやマール達を呼んで伝えたそうだ。
「私は、この世界とは違う世界から来た。私がいた世界は魔法も神具もなく、科学が発達し、ほぼ争いも少なく、貴族との階級社会もあまりなく、人々は平等に生きる世界だった。文明も発達してこことは違う世界だった。私は気がつくと神の世界に居て、神より今いる世界を豊かにしてくれと言われた。私は少しでも役に立てただろうか?」
「やりたい事、やらなければならないこと、まだまだあったがもうすぐ私の命は尽きるだろう。だからもうそれは出来ない。すまないな。お前たちエルフには人の生きる時間は短いだろう。だからもし可能ならば、人の生き様を見届けて欲しい。」
「お前たちには教えることはもうない。私の教えられる全てを教えたつもりだ。色々ありがとう。」
「そして、もしも、私と同じように違う世界から来た者がいたら、そいつの助けになってくれ。きっと故郷に帰りたいと思って寂しいはずだから、その時は稀人である私が、この世界で幸せに生きていたと伝えてくれ。そいつにもこの世界もいいもんだと思って人生を楽しんで欲しい」
「ああ、それと私がいた世界の言葉のひとつ【《《日本語》》】で書いた本をいくつか残してある。それはただの飾りにしか見えないだろう、そして誰も真似出来ないはずだ。けれどその本の《《日本語》》が読める者が居たらきっとそいつは私がいた世界から、なんらかの理由でこの世界に来た人だよ。」
「私がこの世界に来る前、神様から教えられたこと。今はあって未来には無くなっているもの。私が見つけられなかった物が書いてある。知識がないと生み出すことが出来ない物もだ。私にできなかったことがそいつには出来るかもしれない。それらを見つけ、復活させ、新たに見つけることが出来たなら、この世界はさらに豊かな世の中になるだろう」
「その言葉を最後に、祐仁さんは息を引き取りました。祐仁さん亡き後、祐仁さんの息子が王位を継がれました。先程のペットボトルはその後誰も使うことが出来ず、後に祐仁さんの遺品として王家の秘蔵の蔵へと収められました。」
そんな歴史があったんだ。
「カイト坊っちゃま?」
ん?なあに?なんか聞きたそう。
「ん?なあに?」
「祐仁さんは言いました。日本語で書いた本が読めるのは祐仁さんとの同郷と。カイト坊っちゃま、日本語が読めるのではないですか?」
え?やばい、やばい。なぜそうなるの?




