221話 マール、セバスの昔話
「カイト坊ちゃんはエルフをご存知ですか?エルフは白やクリーム色の髪色で肌も透き通るような色白です。セバスがそうでしょう?」
え?グローとマールは黒髪だよね?肌も少し浅黒いし、え?どういう事?
セバスは年齢のせいで白髪だと思っていたけど。
困惑するボクを気にする事なく話が続く。
「私達は自分たちの古里が分かりません。帰ることもできません。それは私たちがセバスの手によって殺された事になっているからです。」
ん?ん?待って、どういうことかな?
「え?殺された事になったって、どういうこと?」
「実際には殺されていません。今、こうして生きていますからね。」
ん?よく意味がわからないけど話を聞いていた方が良さそうだ。
「今から話すことはセバスから聞いた話です」
「エルフは妊娠しにくい体質なのであまり繁殖できません。私たちの前の出産が50年前だそうです。その時に生まれたのがセバスです。」
「エルフの里では、久しぶりの出産という事でみんなで生まれてくることを楽しみにしていました、そして母は私たちを産みました。しかし誕生した私たちを見たエルフや父も母も驚愕しました。なぜなら、エルフにはあり得ない黒髪に少し小麦色の肌の双子が生まれたからです。敵対していつも争いをしていたダークエルフの特徴を持っていたからです。」
「母は浮気を疑われ、裏切り者、浮気者、里の人々に白い目で見られ、父にも疑惑を持たれ、耐えられなかった母は、「私は浮気などしていない」と言いながら自害をしました。エルフの人々は他人に対して無関心ですがこの時ばかりは違ったそうです。」
「母は自害する前に私たちをセバスに託したそうです。同時期に、父は私たち2人を森に連れて行き殺すようにセバスに命じました。」
「セバスは私たち両親にとってもっとも信頼のおける仲間だったようですね。両親が狩りに行く時にはいつも一緒だったようです。ダークエルフとの戦いもお互いの背を預けるくらいの関係だったそうです。」
「父は弓の達人。母は風魔法が得意でセバスは母の1番弟子だったようです。私の両親がいちばん信頼寄せた若い狩人がセバスだったようです。」
「セバスに信頼を寄せる父は、双子を殺すように託し、母は双子を助けて欲しいと託しました。結果、セバスは母の願いを叶えることにしたそうです。なぜなら母が父を裏切ることは絶対にないと信じていたから、私たちがこの姿で生まれてきたのはなにか理由があると思ったからだそうです。」
「そして、せっかくこの世に生まれた双子の命を取るなんて絶対に考えられないとして、私たち二人を引き取るために、母に託された子どもを守るために里を出る決心をしたようです。」
「里で1番若いエルフであるセバスは狩り仲間のリーダーの父に逆らえずにという事にして、私たち2人を抱き、里を後にしました。そして、木の精霊が守るという世界樹に双子を隠し、動物の血をつけた産着を抱え父の元に戻ったそうです。父は泣きながら「分かった」とだけ言ったようですね。その後「旅に出る」とだけ言葉を残し、セバスは里を出たんだそうです。」
「バカですよね。私たちを引き取ったばかりにセバスは里には帰れなくなりました。なぜそこまでしたの?と聞いた時があります。そこまでする義理はセバスにはありませんから」
「実は、セバスは母の事が好きだったようです。自分は好きな人をずっと見ていたから分かる。だから絶対に母は浮気なんてしていない。母の汚名を晴らすんだと思ったそうですよ。」
「世界樹はセバスが戻って来るまで私たち双子を守ってくれたようですね。世界樹から私たちを引き取り、古里からは遠く離れた場所を探しながら安寧の地を捜し求めたようです。生活は楽なものではありませんでした。セバスが狩ってくるホーンラビットやオークなどを人間に売り生計を立て、私たち兄妹を育ててくれました。」




