218話 ポーポーとちんぴんとシーレモンジュース
「その酸っぱいミカンあるの?見せて」
今まで見た事ないよ。もしかしたらシークワァーサーかな?
「なんて言う名前のミカンなの?」
「シーレモンですら。これでさ」
うわー、手のひらサイズの大きさがあるよね?見た目はシークァーサーに似てる。
どうやって果実水を作るんだろ。
「これを半分に切って、搾って水で薄めてますだ」
「わかった。じゃあね、このシーレモンいっぱい持ってきて、このボールに絞って。他は、さっきの黒いの、もう固まってる?これ黒糖って言うの覚えてて。これを少し削って。」
削った黒糖をお湯で溶かし、黒糖水を作り、搾ったシーレモンを加えた。うん、水じゃなくて、ジュースだ。
ボクの好みだけど、これは美味しい。
早速パパにあげよう。家族のも作ろう。
「美味しい。これは永遠に飲めるわっ」
「美味しー、これ好きぃ」
ずっと騒いでいるママとアリ。
この世にジュースなんてなかったからね。
これ凍らしたらシャーベットにもなるかも。凍らせられるかな?夏にはいいよね。
期待値が高過ぎで、なにかと料理人たちの邪魔になっているママとアリ。
次の料理はママとアリには楽しみにして欲しいから夕食まで我慢するように何とか説得して、この場から追いやる事に成功した。
あとは、悩むな。そんなにレパートリーがある訳じゃないし。
味噌、砂糖、豚肉、あー、油味噌があるじゃん。本当はご飯のお供だけど、保存食にもなるし、作り置きできるのはすごくいい。
この世界、小麦も少ない。だからパンもない。どちらかと言うとナンみたいなうっすーいパンもどきがあるくらいだ。
あ、あれがあるじゃん。
ポーポーと、チンビン。よし作ろう。
貴重な小麦粉を調理に使うこと大丈夫だよね。
「小麦粉用意してくれる?」
小麦粉を深めの容器に入れていく。
ひとつは小麦粉にさっきの粉砂糖と卵と水を入れて混ぜていく、感覚的なレシピだ。
気持ち黒糖を多めに。
それを油をひいてたフライパンに流し込む。ホットケーキを焼く要領だね。
生地がプツプツ満遍なく穴が出来たら、裏返して焼いていく。薄いからすぐできた。
それを冷まして、クレープのように巻いて出来上がり、薄く輪切りにして味見だ。
黒糖の優しい甘さと生地のもちもち感が最高。前世の小さい頃のおやつだった。
次はポーポーだ。その前に油味噌を作らなきゃ。
豚肉を小さな4角に切って、フライパンに油を引いて焼いていく。肉に火が通ったら味噌をたっぷり焼いていく。香ばしい肉と味噌の香りが食欲をそそるよね。
味噌にある程度火が通ってきたら、黒糖をこれまた多めに投入。それらを混ぜて馴染ませていく。人の好みはまちまちだから、少し塩気が残るタイプはおかず用に取り分け、更に黒糖を混ぜて甘めに仕上げていく。ボクは甘めが好き。ペースト状で出来上がり。
次は、小麦粉、卵、水だけだ。これはホットケーキの要領でまた焼いていく。生地にポツポツと穴が空いていき、ひっくり返してまた焼いていく。白い生地が出来上がった。これにさっきの甘めの油味噌をバターやジャムのようにぬっていく。
バターやジャムもないんだけどね。
ちなみにミルクもない。だからチーズもない。醤油とか欲しーい。
さ、油味噌をぬったらこれもクルクル巻いた。
2種類の沖縄風クレープの出来上がり。
チンピンとポーポー。なんでそんな名前がついたか分からないから説明できない。
今日のレシピは、黒糖。シーレモンのジュース、油味噌、ポーポーとチンピンの5品。割とボクら頑張った方じゃない?
って言っても、全部作ってくれたのは、ゴードンとその他の料理人達なんだけど。
みんなは少しでも未知の味の味見ができるならって率先してボクの指示する料理を作ってくれるから本当に助かる。
「あー、これが甘み。黒糖は素晴らしい」
「シーレモンのジュース?飲みたいけどこれは試飲出来ないのは残念。」
「ポーポーとチンピン美味かったな。ふたつもどっちもモチモチだけど初めての味だったな」
「つまり?全部美味しいって事だな」
料理人達も満足そう。
「じゃ、さっきの要領で作って夕食の後に出してね」




