195話 怪しいアーシャと、アラカルト料理
「まあ、お前は最初からアマナしか見ておらんから、初めからアーシャがお前の嫁になることは無かった。けど、アーシャは夢見ていたんだ、お前と結婚したかった。だけどお前はアマナしか見てない。だからだ。お前に振り向いて欲しかったんだろ。今は、「ダウニー様は今度私と結婚するのよ」とか言っているらしい。」
「ルドン公爵は娘可愛さに、娘の虚言を許しているようだ。修道院にも行かせず屋敷に置いているらしい。《《お前の事》》以外はまともだし、公爵令嬢としての振る舞いは立派だそうだ。」
なにー。今の話怖ーい。ボク聞いてよかったの?もしかしてボクに理解できないと思ってふたりで話してるつもり?ボク聞いちゃったよ。怖いけどー。やばいんじゃん。
「分かりました。忠告ありがとうございます。しかし困りましたね。5年以上前の話ですよ。私は彼女の事は好きになれなかった。候補と言われても、それはパワーバランスを考えた1部の貴族達が決めたことだ。まあ、彼女の不貞が私との縁を切るきっかけとなったのは間違いない。もうとっくに過去の話だと思っていたんです」
「ああ、わしもそう思っていたぞ。ただ最近カイチェアの悪評が出回っていた事があったな。あの話をアーシャが自分の開いたお茶会で「そんな製品を売るなんて。買うのはやめた方がいい」とな、かなり大事に話していたそうだ。」
「んぐぐぐっ。許せんな。」
「父上、重要なお話ありがとうございます。たしかに気をつける必要があるようですね。」
「ああ、直接手出しはしないと考えたいがな。」
はい、ボクも十分に気をつけます。怖い貴族には出会いたくないです。
「お待たせしました。陛下聞いてくださいよっ」
「なんだ?随分とお前も遅かったな」
「トイレがすごいんですよっ。匂いが、一切ないんです。すぐ消えるんですよ」
「アルフィー何を騒いどる?」
「ですからね、陛下。トイレの様子が違うんです。汚物を流す水も桶もないんですよ。」
「これはいったいどのような仕組みなんですかな?ダウニー様、是非仕組みを伺いたいです。我が屋敷、いや我が領にも、このようにかえたいです。ダウニー様、いえ、婿殿?教えて頂けますかな?」
あー、妻の実家の義父上って立場を利用してきたぞ。宰相じいちゃん。
「あの技術の正体はスライムですよ。」
「なんと!そうですか?あのスライムを利用するんですね?しかしスライムですかー?王都にはいませんね。どうしたものでしょうか?」
チラチラ見てもダメよー。
「義父上、スライムの件は後日ゆっくり話をしましょう。良いですか?」
「では、また時間を頂きますよ。」
「はい、了解しました。さて、追加の料理が来たようです。話を切りかえて食事を楽しみましょう。」
次々に運ばれてくる料理におじいちゃん達は興味津々。匂いを嗅いでは、幸せそうな顔をしている。
「またなんとも言えない香りがするではないか?」
「この茶色と黒のスープは見たことないな。なんなんだ?あとホッタテだな?これと茶色のスープから同じ匂いがするな。なんだか懐かしい匂いのような」
「なんでございましょ。私もなんだか懐かしい匂い、ですな。あーもしかして、これはミソバチ!!」
「そうだ、ミソバチの匂いだな、なんてものを食べているんだ。わしらにウンコを食べさせるつもりか?」
違うよー。
「父上、もう、暴走しないでください。これは確かにミソバチからとれたものですが、大きい方ではありません」
あはは、ウンコっては言えないよね。
食事中だしね。
「カイトが発見して、半年熟成させたものです。あの強烈な匂いは発酵によって緩和され、それがなんとも言えない味わいをしておりまして、騙されたと思って是非お召し上がり下さい」
「うむっ、香りがな。やはり抵抗はあるが、ダウニーがせっかく進めるんだ。カイトの自信作でもあるんだろ?」
「はい、陛下のおじい様、宰相のおじい様も、これは本当に美味しいです。是非食べてみてください。」
「まずは、茶色のスープから。これは《《とんでもなく美味い》》からトン汁と申します。」
いや、本当は違うからねっ。




