179話 ボッチャンのスープは不人気
ボッチャンはかぼちゃなんだよな。天ぷら、煮付けも、かぼちゃサラダも作りたいけど、醤油、砂糖、酢、マヨネーズもないなら作れない。ないのかな?チーズも欲しい。小麦もないの?お米も欲しい。
さあ、こちらも柔らかくなってきたよー。
あ、忘れてた。
人参、玉ねぎも必要だったー。
「あ、ごめんね、忘れてた。急いでキャロトトトとナダンソウソウを持ってきてくれる?」
「どんなふうに調理しますか?」
「えっとね、このふたつもすぐ潰れるようになるまで柔らかく煮たいの」
「あーそれなら今日の夕食の下準備で煮てあるキャロトトトとナダンソウソウがありますから、これを使ってください。初めから作るよりは時間短縮になりますぇ」
「え?いいの?なんか料理に使うって準備していたんでしょ?」
「いやいや、カイト坊ちゃんのために使われる方がいいですって。遠慮なく使ってくだせえ」
ありがとう。うっかりしていたのに助かったよ。ゴードン、いつもありがとう。
「助かったよ。じゃ、使わせてもらうね」
「では、ボッチャンの鍋にキャロットトトとナダンソウソウを入れて煮込んでちょうだい」
そうしてグツグツ煮て全体的に潰れるようになったら火から下ろして、越していく。口当たりが滑らかになるように。
そして鍋にもどし、沸騰させ、水を加え塩で味を整えた。ボクは美味しいと思う。
「うーん、美味しいのは美味しいのですが、食事が甘いのがなんとも」
ってセバスが微妙。
えー、美味しいじゃん。
ママはどう?
「美味しいわ。けど、甘いスープなんてよく分からないわね。」
え?まさかの不評?え?え?うそーん。
食べてるみんなも美味しい《《けど》》って感じで、食事=甘くないって思ってるみたいだ。
「じゃあ、パパにも食べてもらっていい?楽しみにしていたから」
「そうね、パパにも食べてもらいましょう。最終的に決めるのはあの人だもの」
「カイくん、美味しいのよ。でも、これまで甘いスープなんてみんな飲んだことがないのよ、だから戸惑っているんだと思うわ。ママも少し、まだ慣れないだけだと思うの、ごめんなさいね」
そうなんだー、そうなんだー、残念だよ。ボクにはとても美味しいのに。考えたらそうだよね。かぼちゃも人参も、玉ねぎも、料理に使うと甘いほうだもんなー。
「うん、わかった」
そして夕食。
ボッチャンのスープを黙って完食したパパからも
「甘いな、スープが甘いのはなー、美味いんだが。」
そう言ってコースのレシピには採用されなかった。
代わりに鳥の骨から出汁をとったスープにフワフワの溶き卵が花開くチキンスープに決まった。
ホタテの味噌焼きはそのままコース料理に加わり、ポテイトゥーフライは絶賛され、観戦中の貴族のおつまみとして振る舞われることになった。
ポテイトゥーフライは冷めたら美味しくないので、冷めても美味しいのはポテイトゥーをスライスしたらいいと提案すると、その場でゴードンを呼び、作らせて食卓に出すようにパパは指示を出した。
「これがカイトがいうポテイトゥーチップスか、では頂こう」
バリッバリ
「なんだ、パリパリしていて、うまい。うますぎる。酒が欲しくなるな。」
え?酒なんてあるの?
「でもあれは飲めん。二度と飲まん。」
ん?
「どんな酒なの?」
「ああ、ドアーフの秘伝の酒でな、口噛み酒っていうんだ。」
え?口噛み酒ってまさか?沖縄に昔にあったよな。気になって調べたことあったよな、あれの原材料って、アレかな?
「ドワーフの伝統の酒でな、これは乙女が米を噛んで、噛んで、唾液を混ぜて、発酵させたものなんだ。」
きたー。お米きたー。お米この世界にあるんだねっ、やった、やったー。
ボクは興奮を抑えきれない。ご飯が食べられるかもしれない。やったーー!
「その話の中に出たお米欲しい。」
「あー、詳しくは分からんが、カイチェアを作っているモントレーがドワーフだ。話を聞いてみるか?」
「うん、早めにお願い。米は大事なの、早く欲しいの」




