180話 お米が欲しい
「しかしな、祭りにカイトの誕生日で王都にも行くし、落ち着いたとなると半年後だぞ」
「あのね、いいかしら?今回の祭り、カイトの王都行き、その後の誕生日パーティー。これだけでも大変な騒ぎになるわ。スライム、食事、祭り、色々な事で一気に忙しくなるし、有名になるわ。大変よ。その後ゆっくりしている暇は無いわよ。落ち着く間もなくアリの誕生日だわ。それに5歳の誕生日の後、カイくんには家庭教師からの授業が始まるもの。」
そうだったよー、忘れていたー。家庭教師がつくんだった。なんか面倒だけど、貴族の、ましてや辺境伯嫡男たるもの、勉強せんでどうなる?って言われちゃうよねー。
「ね、お願い。お米を欲しいって言うだけだから」
ねっ?おねだりポーズ。ねっ?ねっ?
「はうぅ」
可愛すぎるだろ、私の息子は。
はぁぁぁ、願いは叶えてやりたいな。
私は子供に甘いかもしれないが、こんなにウルウルした瞳でお願いポーズされたら、どんな願いも叶えてしまうな。
「カイト、では、誕生日が終わって落ち着いたらちゃんと家庭教師との勉強を頑張ること。それを約束できるなら、モントレーに合わせてやろう」
「ありがとう、パパ。ボク、ちゃんとお勉強する、頑張る。だってボクは辺境伯嫡男だもの。立派な大人になるために頑張るね」
「ああ、期待している」
「さて、今日はこれで終わりだ。いよいよ祭りだからな。最後の大詰め気合い入れて行くぞ。みんな、無理をしないようにな。」
「「はい」」
「アリはねー、ヒナたんたちと楽しく遊ぶのが仕事ー。がんばるー」
アリに癒されるー、妹、可愛すぎる。
「カイト、明日は祭りの会場の最終チェックがあるんだ。カイトも一緒に行って、何か不足はないか確認してくれないか?」
「うん、わかった」
うーん、さっきからなんか忘れているんだよなー、なんだっけなー。夕食は終わったし。ん?食事が終わった?って事は、デザート。紅芋、粗熱だけとって忘れてたー。
「ゴードン呼んでもらえる?」
あー、どうしよう、どうなったんだろ。紅芋捨ててないよねー?
「ゴードンだす。お呼びと聞きましたがなんですかい?」
「あ、忘れていたんだけど、紅芋はどうしたの?」
「あー、あれは坊ちゃんが使うかと思って、冷蔵室に入れてましただ。」
良かったー、捨てられてない。さすがゴードン最高。仕事できるねー。
「良かった。じゃあさ、それをボクの拳ぐらいをお皿に入れて人数分持ってきてよ」
「へい」
「紅芋とはなんだ?」
そうか、パパは知らないんだ。
「お芋の種類のひとつなんだけど、色も紫で綺麗なの、甘いからデザートにいいんじゃないかなって思ったの。まずは食べて欲しいのよ」
「デザートってなあに?甘いっておいちいの?」
そっかー、アリは初めて甘いを経験するんだね。楽しみにしてて、お兄ちゃんがアリを最高の笑顔にするからね。
「デザートはね、甘いものだったり、食事の後や、お食事とは違う、美味しいものだよ」
「うーん、わかんないけど、おいちーならいいよ」
「アリ、まずは食べてみようね」
「うん」
そ、素直なアリ可愛いなー。
「私も楽しみだわ」
さぁ、運ばれてきたよ、みんなで食べてみよう。
「ひんやりしていいな」
「本当、色を見たらちょっとびっくりだけど、この色、マーシュ領の色だわ。そう考えると素敵ね、なんだかほんのり甘くて、素朴な味ね、いいわね」
「冷たくておいちいの、アリ、これ好き」
とりあえず、食後の口直しとも説明をしてコース最後のデザートに決定した。
「さぁ、食事はこれで終わりだ。カイト、美味しい食事ありがとう」
「カイくん、美味しかったわ、ママからもありがとう」
「アリもおいちかった。また明日も作ってくれる?」
アリのおねだりならお兄ちゃんは頑張りますっ。ボクはアリのお兄ちゃんだからアリの為に頑張るよっ。
ではまた明日とお互いにキスをして部屋に戻った。あー、また明日がんばろー。




