166話 初めての綱引き
私は仲間と共にカイト坊ちゃんが使う訓練場に来ている。だだっ広いところではあるが運動をするところはそんなもんだ。
畑も鳥小屋も向こうにあり、ここが辺境伯領の中心地とは思えないのどかな環境だ。
鳥の鳴き声も聞こえる。
そして私たちの目の前にはかなり太い縄が1本、真っ直ぐに敷かれている。
中心には赤い印がされ、その下の地面にも印がされている。
これが先程話のあった綱引きなのだろう。
騎士団に戻り、団員に先程のカイト坊ちゃんの話をして、興味があればと誘えばこいつらはついてきた。ちと多い気がするが。
あの騎士団の訓練場にあるアスレチックはなんでもカイト坊ちゃんが遊びで作って欲しいと頼んで、ルーク団長が作ったと言われている。誰かがカイト坊ちゃんが《《主導》》で作ったと言っていたが、私はルーク団長が《《主導》》だと思っている。
確かに、カイト坊ちゃんは《《普通の子ども》》にしては賢いだろう。しかし、みんながみんな褒め過ぎだ。だれかがちゃんと《《公平な判断》》で見なければならないはずだ。嫌われたとしても、だ。
「おー、みんな来たのー?」
無邪気だな。
「私が声をかけると、こんな人数になってしまいました。申し訳ありません」
「いや、大丈夫よ。多くても大丈夫だから」
「なんだ?30人はいるか?お前たちは暇なのか?ちゃんと仕事はしているんだろうな?」
おー、パパ、ちと迫力ありすぎじゃない?
ほらーまたー、みんなのみんなが縮んでます、ってほら鑑定眼君発動しちゃったじゃんか。まあ、そっちの話は無視なんだけど。ん?あれ?もしかしてこれのおかげでレベルアップ?まさかな。
「ダウニー様、こいつら今、昼休憩のやつらですよ」
おー、ルーク団長、ナイスフォローだね。
「そうか、ならいいが。」
「さて、カイト。綱引きだよな?どうやるんだ」
先に見本を見せた方がいいね。
「みんな、人数を半分にして、右と左に分かれてくれる?そうそう、そして全員中央に向いてね。そうしたらね、その綱を持ってくれる?あ、全員ね」
「では説明するよ。ボクが合図をしたらみんなは自分のところに綱を引いて。時間は5分。5分後下の線より、この綱の赤い線をより自分たちの方に引っ張ることが勝ちだよ」
「あー、なるほどな。お前たち理解したか?」
「はい、この綱を自分たちの方に引っ張ればいいんですね。任せてください。俺たちが勝ちますよ、あいつらには負けません。」
「いや、俺たちが勝たせてもらう」
あー、やっぱり。始まる前からもうテンション高いな、予想していた通りだねー。
パパたちも、この競技の楽しさを理解した感じだ。
「じゃ、まずは僕の右が赤チームね、左が青チーム。ボクが「はじめ」って言ったらみんな一斉に引くんだよ。用意はいい?」
「「「「「「おー」」」」」」
雄叫びだよ、笑えるんだけど。
「では行くよ、用意、はじめっ」
「「「「「「うりゃー」」」」」」
「「んぐっ」」
「「「負けんぞ」」」
おー、すごいじゃん。ジリジリお互いに寄せては引いて、力はほぼ五分五分かな?
「頑張れ~、あかー、あおー」
「なんだカイト、どっちの応援してるんだ?」
「なんだか、ムズムズしてきましたね」
ルーク団長、赤に参加しちゃったよ。
おー、一気に赤が優勢に。
おっとー、パパが青に参戦。
さあ、さあ、もうすぐ5分だよ。
「はーい、もうすぐ5分だよ」
「くそー、負けてたまるか」
「俺たちもぜってー負けねー」
みんな、すごーい。パワフルぜんかーい。
「はい、やめ。ここから動かないでよ。さぁ、これは僅差だなー。」
よく見ると赤の勝ちだな。
「赤の勝ちー」
「「「「「「「うぉー、勝ったぞー」」」」」」」
「「「「「「「くそー、負けたー」」」」」」」
「と、こんな感じにチームで力を合わせて楽しむ競技なんだ。ね、団体戦に向いてるでしょ?」




