165話 祭り予選の提案
私は今、カイト坊ちゃんの部屋にいる。
目の前には、ダウニー様、その隣にはカイト坊ちゃんが椅子に座られ、カイト坊ちゃんのそばにはルーク団長が立っている。
私は臣下の礼から今、顔を上げたところだ。
「セルジュ第5団長だな。なんでも祭りのことで相談とはなんだ?」
仕事モードのダウニー様は怖え。
「はい、実は祭りに出たいと申し出がかなりの数集まりまして、組み合わせや順番、これをどうすればいいのか?頭を悩ましておりましてね」
「そんなにいるの?個人戦と団体戦をするんだよね?どれくらいの人数がいるの?」
「セルジュ、まずはカイトに相談してみてくれ」
私は《《二度手間》》になることから少し嫌気が差していたが顔には決して出さない。
いつもの笑顔を貼り付けている。
「個人戦が3000人、団体戦には600組です。」
「そんなにか?こんなに居たら一日では終わらないぞ」
あのねー、ルーク団長、あなたが原因ですからね。賞金が出るとか、優秀なものは騎士団に推薦するとか、副賞があるとか、触れ回っていたでしょ?
「人はね、噂が好きなんです。ましてや、娯楽のないこれまでの生活に、楽しみを提供したのなら飛びつきますよ。これでも減らしたんですよ。子どもやお年寄り、犯罪者、身元不明者、色々ね。」
「カイトはこんな時どうしたらいいと思うんだ?」
あー、ダウニー様とルーク団長で話を合わせてカイト坊ちゃんに言わせるって感じだろう。
「そうね、祭りの2週間前から各地や、実力の似たような人をトーナメントに振り分けて、前もって試合してはどうかな?トーナメントにして、祭りの本番は各トーナメントに勝ち抜いてきた覇者達の決勝戦にするのよ」
「本番前から盛り上がって楽しいでしょ?」
「悪いがカイト、そのトーナメント戦とはなんだ?」
あー、そこから説明だね。トーナメント戦?と不思議そうにしている大人3人にボクは紙にトーナメント表を書いて、勝ち抜き戦だと説明をする。
ボクは即席だけど、思いついた案を伝える。騎士団のアスレチックは最後の決勝戦にして、予選は競技を絞る事がいいと提案した。だってあのアスレチックはあちらこちらに作れないもんね。ただ、競技は個人戦と、団体戦に分ける必要がある。
「カイト坊ちゃん、面白いこと考えますね、相変わらず頭が回ります」
「じゃあ、カイトは具体的に何をしたらいいと思うんだ?」
「個人戦は、ロープ飛びでいいんじゃない?ただロープ飛びだけではつまらないから」
と前置きして、S字にコーナーを作り、行って戻って来る競走にするのがいいかも。
「それなら、いくつかの棒とロープだけでできるよ。」
「なるほど、面白いかもしれん」
「では、団体戦はどうする?」
あ、そうそう、盛り上がるのは綱引きだよな、団体戦にむいてんじゃん。
「団体戦は、綱引きはどう?」
「綱引き?綱を引くのはわかるがそれは楽しいのか?競技になるのか?」
「団体戦にはいいと思うよ。2つのチームが一本の綱を互いの陣地に向かって引き合ってさ、その力で勝敗を決める競技なんだ。」
「かなり単純な競技だから難しくは無いよ。ただ慣れてくると仲間同士の絆と戦略も、重要になって来るはずだし、きっと盛り上がると思う。」
うーん、みんなピンと来てないな。
「じゃあ、ちょっとやってみようよ。一対一でも出来るから。」
「ああ、そうだな。いまいちよく分からないな、まずはやってみるか。」
「坊ちゃん、どこでやるんですか?」
「外がいいな。あと綱も用意して。」
「私もよく分からないが、まずは試してみたいです。」
こんなに、スラスラと色々な案が出てくるとは驚きだ。なんだ、この子の頭の中はどうなってるんだ?
「よし、ではみんなで訓練場に集合ね。良かったら、第5団の騎士達にも時間あるなら声掛けてみて」
私は半信半疑なまま、仲間を誘いに向かう。




