151話 定規を作ろう
ボクが欲しいものが見当たらない。
ボクの部屋に流石にないから、考える。
「マール、欲しいものがあるんだけれど、薄くて細長い板はないかな?」
「薄くて細長い板ですか?探してみますね」
メイドさん達に探してもらうようにマールが依頼をして、メイドさん達はボクの部屋から出ていった。
しばらくすると、1人のメイドさんが1本の棒を持ってきた。板ではないけど使えそう。
「ありがとう。これで使えそうだよ」
とボクはメイドさんにお礼を言うとハニカミながら部屋を出ていった。きっと探しているものが見つかったって他のメイドさんを呼びに行ったんだろうな。
「マール、等間隔でこの棒に線を書いて欲しいの。初めの見本はボクが用紙に書くね」
「はい、分かりましたよ、何をするのかわかりませんが楽しみですね」
言われたまま、マールはボクが書いた線を棒に書いていく。なかなか器用でちゃんと等間隔だ。精密じゃなくても見た目同じ感覚なら問題ないだろう。
同じ長さで4本の線を書いたら、5本目は少し長めに線を書いて貰う事を繰り返していく。
そう、ボクが欲しかったのは定規。
だから線と線の間は、本当に1mmな感じ。
それをちゃんと線を引くマールがすごい。
「カイト坊っちゃま、これはなんですか?」
1~100までの数字はすでに習っているから大丈夫。
「これはね、物を図るために使うんだよ。線は目盛りって言ってね」
「目盛り?」
あー、目盛りって分からないか?
うーん、そうだな。
「これを長さとか厚さの基準になるんだよ。」
「説明をする前に、10番目の少しだけ長い線に数字を書いて欲しい。1と書いて。更に10個目の線には2。10個毎に3、4、5ってかいてくれる?」
「はい、端まで数字を書きましたよ、全部で50まで、あとは3本余りました。これをどう使うのですか?」
かなりの集中力だね、すごいよ。
説明は実際に見せながら話した方がいいな。
「例えばねー、ここにコップがあるでしょ」
そう言いながら、マールが作ってくれた定規もどきをあてがう。
この世には定規がないから前世の単位をそのまま使っても大丈夫だろー。
「見てマール。これ線のひとつが、そうだねー、1ミリと名前をつけた方が覚えやすいよね?1ミリ、2ミリって数えていくよ、10ミリのところで1となってる。つまりは1ミリは10個集まったら10ミリだけど、それでばかり計って言ったら大変だよね?だから、1ミリは10個で1センチになるんだよ。そうなると20ミリは2センチになる。ここまで分かる?ここのところね」
分かりますよ、十分に理解しています。理解できないのが、その発想です。
カイト坊っちゃまの頭の良さや柔軟な考えをすることは知っていましたが、これは、これは、とんでもないことです。
「マール、そう考えるとこのコップはいくつになる?」
「15センチと3ミリ、ですか?」
「せいかーい。」
パチパチ無邪気に手を叩いていますが、坊っちゃまこれは革命ですよ。
「ありがとうございます」
さ、マールもう少し計ってみよ。
「では、このお皿は?」
「20センチ7ミリです」
「おー、すごいね、マール」
よし、ここで驚きだよ
「ね、マール、この今計ったお皿と、その隣のお皿はほとんど同じ大きさだよね?」
「はい」
「では、もう1枚を計ってみるね。これはどう?目盛りを読んでみて。」
「こちらは、20センチ4ミリです」
「はい、せいかーい。ということは数値が違うよね?最初のお皿が、今計ったお皿より3ミリ大きいんだねってことがわかるの」
って、なんですか?まだ計算を教えてないですよ。しかも、具体的に理論的に話すなんて、ありえないっ。でも、目の前で坊っちゃまは!だっ、旦那様に報告しなければなりません。
ボクは、やらかしちゃったことには全然気づかなかった。




